アンカーとして新境地を拓いた小林祐希 “チーム小林”による自己改造の成果とは
前に行きたい気持ちを押し殺して守備に奔走
極寒の中、小林が半袖のユニホームを着たのは、スハールスへのリスペクトを表したもの 【Getty Images】
「(監督から指示を受けたのは)俺が前に行ったからじゃない? でも俺は前に行きたい。『俺が行ったらもう1人の奴がカバーすればいい』と言ったら『お前にいて欲しい』と。それがチームの決まり。『ハフトゥー(have to)、マスト(must)』と言われたから、それはやらないといけない」
前半の小林は、28分に右サイド奥深くまで攻め込み、41分には後方でのビルドアップに絡んでから攻撃に参加してシュートを放っていたが、ストレッペル監督の檄(げき)が飛んでからはアンカーのポジションに専念した。前に行きたい気持ちを押し殺している小林を見ているせいか、64分に相手パスをインターセプトしてチームの2ゴール目につながるパスを出した小林に、CBヨースト・ファン・アーケンと左サイドバックのルーカス・バイカーが祝福に駆けつけたのはほほえましく感じる。
「(インターセプトは、相手のパスコースを)切りながら、完全に誘いました。そういう『遊び』もできるようになってきた。その後の、簡単に後ろに下げずに(マークを)1、2枚剥がしてトンとパスを出せたのも、練習のたまものだと思う。本当に1段ずつですけれど成長しているとは思います」
スハールスへのリスペクトを表し、半袖を着用
「昨日(13日)、自分の中で3つの柱を決めて、今日はそれを徹底した。その3つの柱とは、『(ボールを)サイドに散らすこと』、あとは『守備で激しく』『空中戦で負けない』ということ。(システムのかみ合わせで)俺は絶対にトップ下のやつ(デュプラン)とデュエル(1対1)になるから、そいつにどれぐらいやらせないかとか、どれだけ後ろまでついていけるかとか、空中戦もそうだし、そこで負けなければ相手は何もないと思ったので、そこだけをしっかりやりました」
極寒の中、半袖のユニホームを着たのは、スハールスへのリスペクトを表したものだった。
「スタイン、いつも半袖だから。『俺は彼と一番プレーしたいのにできない』という気持ちが彼に伝わればいいなと思った。彼は『そんなにリスペクトしすぎるな』とか『自分を出せばいい。ここは、そういう国だから』とか言ってくれる。彼に対するリスペクトの気持ちは忘れたことがない。彼とプレーしたいという思い、彼の分までやりたいという思い――。それが、ちょっとても伝わればいいかなという気持ちで、今日は半袖でした。雪の中で一人だけ半袖。逆に気持ちよかったね」