サンウルブズ元年を支えたボランティア 参戦2年目、そしてW杯への課題は?
秩父宮ラグビー場の課題はサイネージ不足
サンウルブズの本拠地・秩父宮。設備面などで国際試合を開催するには課題が残った 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
−−国際試合を開催する上で感じた課題はありますか?
眞柄 (サンウルブズがホームにする)秩父宮ラグビー場は国際試合の会場としてはサイネージ(案内標識)が貧弱でした。また女性のボランティアが、全体の4割いらっしゃったことであらためて感じたこととして、ボランティアの更衣室が少ない、階段が急で危ない、ということがあります。
−−海外からのお客さんからの質問ではどういうことが多かったのでしょうか?
眞柄 海外の方はチケットを電子的に買って待ち合わせをする方が多いのですが、なかなか合流できない方がいらっしゃったり、おみやげ付きのチケット持っていても、どこで引き換えができるのか分からない、ということもありました。海外の方の場合、日本では言葉が通じないことを分かっているので、彼らも我々の言っていることを理解しようと努力するので、必ずしも流ちょうな英語が喋れなくても通じる場合が多いと思う。
−−17年シーズンの日程で7月15日・午後12時5分に秩父宮ラグビー場でキックオフ予定の試合(ブルーズ戦)があります。なぜ、真夏の昼間に試合をするのですか?
室口 一言で言えばテレビ放送の都合です。すべてのスーパーラグビーの試合が世界の1つのチャンネルで見られるように、という配慮です。ただ、2月の開幕直後、南半球は夏なので、サンウルブズも敵地で、熱い中で試合をしなくてはいけません。16年シーズンも7月2日にワラダーズと秩父宮ラグビー場で試合をしましたが、彼らからはまったくクレームはありませんでした。
2019年W杯のボランティア活動へ向けて
室口 おそらくそういう形になっていくと思いますし、そういった形で日本ラグビー協会さん話をすることになるのではないでしょうか。私たちは国際試合、しかもエンターテインメント(の要素)を入れた試合の中で行っていますので、W杯に向けたテストケースになっていると思います。
−−17年シーズンのボランティアは300人ほどを募集しているそうですが、500人、あるいはそれ以上の応募が来た場合どうするのでしょうか?
室口 もしそうなった場合、いつ募集を打ち切るかというのを考えないといけません。他の場合ですと、先着にしたり、単純な抽選にして公平性を保つという形にされています。ただ、W杯となると、人が何人いても足りないと思いますので、個別の面接を進めていくかもしれません。
眞柄 300人ほどであれば、地域のラグビー協会さんなどへの声掛けなどで十分なのですが、数千人の単位になったときはボランティアの適正や本気度を確認するためにも、面接が必要になってきます。15年イングランド大会の際には、希望者に24項目におよぶレジュメ(履歴書)を提出してもらいました。「英語以外の言語を話せますか?」「地域で複数開催されるどの試合にボランティアに参加できますか?」「ラグビーをしたことはありますか?」といった質問に応えてもらい、そこから残った1万人に面接に進んでもらいました。こういったやり方は参考になると思います。
あなたにとってラグビーとは?
眞柄 企業経営をしている立場から、改めて今回のボランティア活動の行動規範である品位、情熱、結束、規律、リスペクトといったとラグビー憲章はビジネスにおいても非常に重要であると思います。その側面からラグビーには非常に身近なものを感じるとともに、あらたな可能性を教えてくれる存在です。