涙のルメール、3角悔やむ武豊キタサン 両雄の激闘は有馬から凱旋門賞へ

スポーツナビ

サトノダイヤモンドが暮れの日本一に

ルメール騎乗のサトノダイヤモンドが有馬記念を制し日本一に! 【写真:中原義史】

 JRA競馬の1年を締めくくるグランプリレース、第61回GI有馬記念がクリスマスの12月25日、中山競馬場2500メートル芝を舞台に争われ、クリストフ・ルメール騎乗の1番人気サトノダイヤモンド(牡3=栗東・池江厩舎、父ディープインパクト)が優勝。武豊騎乗の2番人気キタサンブラック(牡4=栗東・清水久厩舎)との一騎打ちをクビ差制し、日本一に輝いた。良馬場の勝ちタイムは2分32秒6。

 サトノダイヤモンドは今回の勝利で8戦6勝。重賞は2016年GI菊花賞、GII神戸新聞杯、GIIIきさらぎ賞に続く4勝目。騎乗したルメールは2005年ハーツクライ以来となる有馬記念2勝目。同馬を管理する池江泰寿調教師は2009年ドリームジャーニー、11年オルフェーヴル、13年オルフェーヴルに続く有馬記念4勝目となった。

 北島三郎さんがオーナー(名義は(有)大野商事)であるキタサンブラックは2着惜敗で今年のGI・3勝目はならず。また、有馬連覇を狙った吉田隼人騎乗の3番人気ゴールドアクター(牡5=美浦・中川厩舎)は、キタサンブラックから半馬身遅れの3着に敗れた。

「今は日本の騎手。あのときとは気持ちが全然違う」

感極まったルメール、馬上で男泣き 【写真:中原義史】

 サトノダイヤモンド、キタサンブラック、そしてゴールドアクターを加えた3頭の叩き合い。ファン投票2位、1位、3位馬にして、単勝オッズ1番人気、2番人気、3番人気馬による火の出るような最後の激闘……。1年を締めくくる大一番にこれだけの名勝負が繰り広げられたのだ。宝くじのような高配当を夢見た穴党にはちょっと厳しい結末だったかもしれないが、純粋な“競馬の勝負”という意味では、競馬ファンは最高のクリスマスプレゼントをもらったのではないか。

 2016年最後の大勝負を制したのは、3歳馬サトノダイヤモンド。今年の3歳牡馬と言えば、近年最高レベルと評判だった割にこの有馬記念に駒を進めてきたのは、菊花賞馬1頭のみ。3歳と古馬のトップが日本一の座をかけて激突するグランプリという舞台を考えると、3歳勢は寂しい顔ぶれと言わざるを得なかった。が、なんの、その黄金世代の実力をサトノダイヤモンドは最高の形で示してくれた。

「とても嬉しいですね。有馬記念はスペシャルなレースで、日本ではとても大切なレース。サトノダイヤモンドといっしょに勝つことができて、本当に嬉しいです」

“日本の騎手”として有馬記念を勝った、それが何より嬉しい 【写真:中原義史】

 レース直後、感極まったルメールの目からは涙がこぼれていた。それはフランス人ジョッキーとして流した涙ではない。“日本の騎手”として流した歓喜の涙だった。

「ハーツクライで有馬記念を勝ったときは、日本で初めて勝ったGIでした。その前のジャパンカップで負けていたし(ハナ差2着)、自分としてはリベンジだった。でも、今日はあのときとはちょっと違いました。今は騎手生活をチェンジして、日本の騎手として生活しています。だから、あのときとは気持ちが全然違います」

 思えば、ハーツクライを駆りディープインパクトに国内唯一の黒星をつけた2005年の有馬記念も、奇しくも今年と同じクリスマス決戦だった。あの当時はまだ短期免許で来日している“助っ人”。しかし今は日本の騎手となり、調教からまたがり、デビュー戦から誰にも手綱を譲ることなくここまで苦楽を共にしてきた。やはり何もかも思い入れが違ってくるというもの。そんな感情が爆発しての涙だったのだろう。

 そしてルメールとサトノダイヤモンドの間には何者も入り込めない絆、信頼ができあがっている。快勝した淀3000メートルの菊花賞に続き、この中山2500メートル有馬記念でも完ぺきなレースを展開した。

1/3ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント