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小野裕二が“再復帰”戦で見せたプレー
川島、内田の姿勢から学んだこと

プレシーズンからレギュラーの座を確保していたが……

第19節の対ゲント戦は小野裕二にとって今季の“再復帰”戦となった(写真は2015年7月のもの)
第19節の対ゲント戦は小野裕二にとって今季の“再復帰”戦となった(写真は2015年7月のもの)【Getty Images】

 現地時間12月17日、ベルギーリーグ第19節のシント・トロイデン(STVV)対ゲント戦(3−1)は、小野裕二にとって今季の“再復帰”戦だった。


 右ハムストリングの負傷が癒えたばかりの小野は、チームが2−1とリードしていた85分からMFとして出場すると、88分に右サイドでダイレクトパスをウイングバックのママドゥ・バガヨコに通し、ウォルケ・ヤンセンスのゴールの起点となった。このゴールでSTVVの勝利は確実なものとなり、ボールがネットに突き刺さった瞬間、小野は味方ベンチへ向かって咆哮(ほうこう)しながら疾走。チームスタッフ、控え選手たちから揉みくちゃにされながら、喜びを分かち合った。


 今季の小野はプレシーズンからレギュラーの座を確保しており、リーグ開幕2試合は先発として出場していた。雲行きが変わったのは8月12日に行われた第3節のアンデルレヒト戦(0−0)だった。試合前に配られたメンバー表に“Yuji Ono”の名前が先発にも控えにもなかったのだ。この時、ベルギー人記者からも軽くどよめくような声があがった。観客席で試合を見ていた小野はファンから「けがでもしたのか?」と心配されたという。


 小野がメンバー外を言い渡されたのは、試合当日のミーティングでのこと。その週の練習で「スタメンはなさそうだな」と感じていたが、まさか18人のメンバーにすら入らないとは想像していなかった。


「(イバン・)レコ監督も、コーチも『ベルギー人の選手を6名メンバーに入れないといけないから』と言っていましたが、自分は結局、他の(外国籍選手の)12名に入っていないので、普通にベンチ外になったと思っています」

移籍報道も出るなか、練習で顎の骨を骨折

 STVVの番記者の1人は「クラブの首脳陣が小野を放出するのではないか」と感づいていた。


「昨日(8月11日)、ベルギー人の記者から『STVVを出ていくんでしょ?』というメールが来ました。どこから、そういう話が出ているのかと思いました。スタンダール(・リエージュ)の1年目は俺も永井(謙佑)くんもスタメンだったのに、次の試合でベンチ外になったり、ベンチ外からいきなりスタメンになったり。日本ではあまりないことが(海外では)あります」


 どうやらその後、2部リーグのルーバンが小野の獲得に乗り出したようだったが、それ以上の詳細が報じられることなく夏の移籍市場は閉まった。


 メレヘン戦(9月10日)の前日練習で、小野はストライカーのヨハン・ボリと激突し、顎の骨を折ってしまった。翌日、すぐに手術をした小野だったが、口の中に矯正器具が入っていて、ほとんど口を開けることができず、しゃべることも食事を取ることもままならぬ状況が3週間続いた。クラブも「日本の家族のもとで過ごした方がいい」と配慮し、9月半ばから10日間ほど、小野は実家に戻っていた。


「家族に流動食のようなものを作ってもらいました。おかゆもトロトロしてると飲めないので、スープみたいにしてもらった。味噌汁もネギも全部(歯に)引っかかっちゃう。歯並びが悪かったら(ネギなどが)通る隙間ができると思うんですが、自分はわりと歯並びが良いので、ちょっとした隙間からじゃないと(流動食を)飲めなかった」


 口の中から矯正器具が取れたのは10月24日のこと。11月4日に小野がチームの全体練習に合流したのが報じられ、11日には本人がSNSに「今日は練習試合に少しだけ出ることができました」と書き込んだ。

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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