小野裕二が“再復帰”戦で見せたプレー 川島、内田の姿勢から学んだこと

中田徹

けが明けから3試合連続出場と復帰に猛アピール

スタンダールで川島永嗣(左から3番目)を間近で見続けたことが、今も小野の財産になっている 【写真:アフロ】

 小野の復帰戦は11月26日のロケレン戦だった。チームは0−1で敗れてしまったが、小野は77分間プレーすることができた。29日のベルギーカップラウンド16、対メヘレン(2−2、PK4−3)で小野は120分間フル出場を果たした。PK戦で小野は3人目のキッカーを任され成功し、チームの準々決勝進出に貢献した。

 12月3日のリーグ戦、対ムスクロン・ペルウェルス(1−0)で小野は74分間プレーし、チームは10試合ぶりの勝利を挙げ、最下位から脱出した。アンデルレヒト戦以降、まるで放出要員のように扱われた小野だったが、顎の骨折が癒えると、いきなり3試合連続出場とレギュラーの座を奪い返したかのように思えた。

 小野はレコ監督の信頼を取り戻したのだろうか?

「チームに何かをもたらしてくれると思っているから、監督は選手をチームに置いているわけで、試合に出ている選手、出ていない選手、それ以外の選手を監督は基本的に信頼していると思います。トレーニングの姿勢も見ている監督だと俺は思っています。

(復帰戦となったロケレン戦は)たまたま累積警告で出られない選手がいたのでチャンスがめぐってきたけれど、そこでしっかり自分のプレーができたからこそ、続いて2試合使ってもらえたと思います。

 試合に出れるか出られないかは、監督が決めることです。自分が100%でやっていて、もし試合に出られなかったら、それからここに残って戦うのか。それとも他のクラブへ行くのか考えればいい。ただ、やるべき場所があるうちは、自分は100%、腐らずにやろうと思っています」

川島や内田から学んだ姿勢が財産に

 スタンダールで川島永嗣を間近で見続けたことが、今も小野の財産になっている。

「良い手本となる人が近くにいました。リールセからスタンダールでずっと試合に出ていた永嗣さんが、それから出られなくなってしまった。今も(FCメス)で同じ状況ですよね。だけど、いつ会っても永嗣さんはポジティブな人です。スタンダールで永嗣さんのトレーニングに取り組む姿勢も見てきました。やっぱり、自分もそこは見習わないといけない」

 川島と会った最後は、顎を骨折する前だったという。

「永嗣さんは『試合に出られないことは選手としては大変だけれど、それでもこっち(ヨーロッパでサッカーをやるの)は楽しいよ。やりがいもあるよね』と話してくれました。永嗣さん自身、なかなか所属チームが決まらなかったこともありました。やっぱり、僕たち後輩が得るものがありますよね。経験している人から言われるからこそ、本当に響くことがあります。俺のけがに比べれば、永嗣さんはもっともっとすごい経験をしている人だと思います」

 内田篤人から得たことも多い。

「冗談交じりに自分のけがを『これ、治るのかな』とか言う。でも、誰も経験したことのないけがですからね。自分以上に辛い経験をしてきた人を見てきてますから、なおさら自分のけがなんてと思います。自分はすぐにサッカーができていますし、復帰したらチャンスをもらって使ってもらっている。あとはそれを生かすか、生かさないか。それは自分次第です」

「自分が復帰して勝ち始めているのは良いこと」

 ところが、長期離脱後に1週間で3試合に出続けた結果、今度は右のハムストリングを痛めてしまった。

 12月10日のコルトレイク戦(1−0)を前に小野の欠場が決まり、レコ監督は「ここ3試合、小野は良いプレーを見せていたのに、今度の試合に出られず残念だ」と語っていた。14日のベルギーカップ準々決勝、対ズルテ・ワレヘム(0−2)も小野は先発出場には間に合わなかったが、連戦が続いて疲労気味の選手がいることもあり、ヘント戦は「途中出場もあるかもしれない」と出る準備を進めていた。それが実って、ゴールにつながるパスを出し、ゴールが決まった。得点後、小野とベンチの選手たちが抱き合って喜んだのも、この半年間の辛い時期をみんなが知っていたからだろう。

 小野は2013−14シーズンの開幕を目前に控えた時期に、左膝の靭帯を切る重症を負い、シーズンを棒に振ったことがある。

「ベルギーに来てからけがが多い。スタンダールの時も大きなけがをしている。あの時は完全に治るまで1年以上かかった。それに比べたら今回は3カ月程度ですが、食事を取れなかったのが辛かったです。日本では、そんなに大きなけがは1回もなかったんですけどね(苦笑)。

 自分がけがをして、チームにいない時は(チームが)全然勝てず、自分が復帰して勝ち始めているというのは、すごく良いことだと思う。さらにここから、現在試合に出ている選手、ベンチにいる選手も含めてチーム内で競争していければいいと思います」

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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