東の名門・藤沢和厩舎、2歳GI完全制圧! 四位が明言サトノアレスは頂点狙える器

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「当然、来年の春は大きいところを狙える馬ですよ」

 そして、その雄大な馬体に似合わないほどの切れ味には驚いた。藤沢和調教師ですら、この日の大外一気の末脚には「想像以上のレースでしたね」と舌を巻いたほど。そうなのだから、全くのテン乗り(初騎乗)だった四位はもっと驚いたに違いない。

「ホント、今日に関しては僕は何もしていないですよ。馬の力だけというか、馬が勝手に伸びてくれました。僕は厩舎とオーナーの勢いにあやかっただけかな(笑)」

馬場の外から一気に突き抜けたサトノアレス(ピンク帽)の切れ味にはトレーナーも舌を巻いた 【スポーツナビ】

 パドックでの初コンタクト、返し馬での雰囲気から「行きたがるところがあるのかな」という印象を受けた四位。しかし、ゲートを出てしまえば引っかかることなく、すんなりと折り合い、「前に馬を置いてリラックスさせることだけを考えていた」とジョッキーが思い描いたとおりの競馬ができたという。

 もちろん、単なる早熟馬ではないことは「当然、来年の春は大きいところを狙える馬ですよ。距離も問題なさそうですからね、テッペンまで行く可能性のある馬だと思います」とジョッキーが太鼓判。藤沢和調教師も「2歳のうちに随分と頑張ってくれましたが、まだまだ余裕がありそうです。ここ2戦は1600メートルを上手に走ってくれましたが、折り合いも大丈夫なので、これからは長い距離にも行きたいですね」と、来春のクラシックを視野に捉えている。

来春クラシックの主役へ 【スポーツナビ】

 今後は放牧に出される予定で、順調ならば弥生賞あたりのトライアルを1戦使って皐月賞、ダービーが基本路線だろう。牝馬のソウルスターリングに、牡馬のサトノアレス――2017年春のクラシックは久々に藤沢和厩舎を中心に回ることになる。藤沢和2強打倒に名乗りを挙げるのは同じ関東馬か、それとも西からの刺客か。

ミスエルテ敗因はレース前の消耗と馬場

ミスエルテ(中、オレンジ帽)はまさかの4着、来春の巻き返しに期待がかかる 【スポーツナビ】

 そのソウルスターリング打倒候補1番手どころか、来春牝馬クラシック主演の座を一気に奪っていくと見られていたのが、牝馬ながらこのレースで断然の1番人気に支持されたミスエルテ。しかし、36年ぶりの朝日杯牝馬Vの快挙はならず、馬券圏外の4着に敗れた。

「競馬前のテンションがすごいですね。レースを使うごとに我慢できなくなっているような印象です」

 敗戦後の第一声として、このように語った川田。確かにパドックの周回中、ミスエルテはチャカチャカと落ち着きのない様子だった。また、馬体を回復させるために前週の阪神JFではなく、1週間待ってこの朝日杯FSに挑戦したわけだが、それでも前走で6キロ減った馬体重がまた今回、4キロ減っていた。この馬体減も今後に向けて気になる材料だ。

 ただ、競馬の内容自体が悪かったわけではない。川田も「競馬そのものはよく我慢して上手にレースをしてくれました」と振り返っているとおり、中団追走からスムーズに脚を伸ばしている。それでも前走のファンタジーSのように突き抜けられなかったのは、レース前の消耗に加えて、不向きな馬場状態にあった。川田がこう言及する。

「今日のような時計がかかる馬場も彼女には苦しかったですね。スピードのある馬なので、やはり時計の出る馬場の方がいいと思います」

 馬場、コースに関しては新馬戦ですでに阪神マイルを快勝していただけに有利に働くかと思われたが、初秋と今の阪神ではまるで芝の状態が違ったようだ。

 弱点を露呈してしまったが、まだまだ成長も課題克服も見込める2歳馬。この朝日杯の敗戦を糧に、“やはり並の素質馬ではなかった”と再び思い知らせる豪脚を、来春のクラシック戦線で見せてほしいものだ。そうでなければクラシックが面白くならない。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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