新人王の阪神・高山に足りなかったもの 来季は課題克服で「全試合スタメン出場」
衝撃的だった大谷投手のボール
初めてのプロ生活に「とにかく1年間必死に練習し、必死にプレーした」と振り返った 【写真=大泉謙也】
そうでもないです。今年は極端に四球が少なかった(年間27個、リーグトップは東京ヤクルト・山田哲人の97個)と思います。それだと打率も上がってこないですし、出塁率も下がります。でもいざ打席に立つと1軍投手の変化球のキレなどは、やはりすごかったですから、ついつい手を出してしまいました。
――その中で「これはすごい!」と感じた投手はいますか。
セ・リーグではないのですが、交流戦で対戦した北海道日本ハムの大谷(翔平)投手ですね。バットに当たらなかったです。あのボールは衝撃的でしたね。まだまだだな、と思いました。もっと練習するしかないな、とも強く思いました。
――その中で先ほど出塁率の話をされました。そこは重要視している?
もちろん重要なことだとは思います。誰かが出塁しないと得点は挙げられないので……勝ちにつながらなくなりますよね。ただ出塁率を一番に考えているかと言われると、そうではないんです。でも、出塁はしていきたいと思っています。答えが支離滅裂ですが……。
――もちろん、走者がいたら打って返したいですよね。
はい、そうです。自分も出塁することは大事ですが、走者がいたら確実に返したいと思いますし、それがチームの勝ちにつながりますので。
とにかく1年間必死でプレーしていた
――ただ、シーズン途中に少し調子が落ち、2軍の試合で調整出場なども行いました。
はい、本当に落ち込みました。この時期は自分の中で打撃の調子が悪いのか、それとも体がうまく動いていないのか、その判別ができませんでした。体自体は疲れていたのだと思います。そういう何がなんだか分からない感覚も初めてでしたし……。
――今年1年間、初めて職業としての野球をやったわけですから。
あれだけのお客さんの前で毎日プレーするのですから、試合をやって、そのファンのためにという思いも実際にありました。それがやはり仕事としてやっているところにつながっているのだと思いました。
――1試合も手を抜けないという感じだと思います。
僕の中では常に全力でした。試合に出られるか、出られないかの瀬戸際でプレーしていました。とにかく1年間必死に練習し、必死にプレーしていました。
――そうだったんですか。
1試合ヒットが出ない、ましてや2、3試合ヒットが打てないときなどは、もう打てないんじゃないかとかという不安は常にありました。
――試合に出られないんじゃないか、ということもあった。
実際にはそこまでは考えていなかったです。それよりも何とかしなきゃいけないぞ、という思いが強かったですね。
――それは重圧に近い感覚ですか。
重圧を感じてやっているプレーヤーは(福留)孝介さんなどの実績のある先輩方で、僕はそういう言葉を使える選手ではないです。チームに勝つためには頑張るだけ、という思いでした。
来季の目標は全試合スタメン出場
来季は「体力のなさを克服して全試合スタメン出場を目指す」とさらなる飛躍を誓った 【写真=BBM】
今年は試合途中で外されることもありましたし、左投手が先発のときには、ベンチスタートが多かったんです。そこを信用してもらって出られるようにしたいです。
――そのためには何が必要だと思っているのでしょう。
今季は体力のなさを感じました。現在のこのオフシーズンは、体を強くするメニューを作ってもらいやっています。そういう今しかできないトレーニングをやって、2月のキャンプから1年間、ベストパフォーマンスを出し続けられるようなシーズンにしたいと思います。また、左投手でも打てるようにしてアピールしたいです。
――全イニング出場ももちろんですよね。
そうです。理想はシーズン最後まで試合に出続けることです。孝介さんがいて、糸井さんが(オリックスから)加入されて、外野の2つのポジションがもう埋まっています。今年やってきたほかの外野メンバーで、残りの1つのイスを争わないといけません。すごい競争になると思います。しかし、自分の目標を達成するためにも、今年以上に頑張らないと厳しいなと思っているんです。
――さらにレベルを上げるには守備に課題があるように思われます。
はい、そうですね。守備ではかなりチームに迷惑をかけたので……(6失策)。秋季キャンプでは中村豊(守備走塁)コーチに鍛えてもらいました。今年のように投手やチームに迷惑をかけるようなプレーじゃなく、投手やチームを救えるプレーができるようにしたいです。
――打撃と守備の重要度の比重はどうですか?
今の僕にはそういう比重はないです。すべてにおいて100パーセントの力でプレーしていきたいです。走りのほうももちろん100パーセントで行きますし、心も100パーセントの気持ちで相手に向かっていきます。全試合スタメン出場を目標に、来年も頑張っていきます。
(取材・構成=椎屋博幸)