新人王の阪神・高山に足りなかったもの 来季は課題克服で「全試合スタメン出場」
今季134試合に出場して、打率2割7分5厘、8本塁打、65打点で新人王を獲得した阪神・高山。136安打は球団新人最多安打となった 【写真=BBM】
新人王獲得は金本監督のおかげ
新人王を獲得した高山(写真左)は起用し続けてくれた金本監督に感謝を述べた 【写真=BBM】
――最優秀新人賞の獲得、おめでとうございます。
ありがとうございます。NPBアワードのような大きなイベントは初めてで、すごい選手ばかりで緊張しました。1年間いろいろありましたが、こうやって賞をいただけて、皆さんに選んでもらい、うれしく思います。
――取りたいと思っていた賞だったのでしょうか。
新人王の話が周囲でされるようになったのはシーズン終了後で、僕自身もしかしたら、というような感じで考え出したのはそのときぐらいからです。シーズン中はそこまで考えていなかったので。この賞を取りたいと思うことができないくらい必死でしたし、厳しいシーズンでした。
――一生に一度しか取れない賞ではあります。
そうですね。毎年この賞はありますが、選手にとっては一度しかないですから。その賞に選んでもらったことは非常にありがたいと思います。それも1年間、使っていただいた金本(知憲)監督のおかげです。
――プロ1年目のシーズンが過ぎるのは早かったでしょうか。
早かったです。アッと言う間にシーズンが終わった感じです。その中で、あのときもっとこうしておけば良かったと思うことも当然あるのですが、それも含めての僕の実力すべてが出た数字だと思っています。だからこそ、後悔するようなことはないです。
今年一番の思い出に残る初打席初安打
新人選手の中には「開幕1軍」「レギュラー獲得」という目標を口にしますよね。僕はそれさえも言えない感じでした。右手の状態を考えてもそういう言葉は出せなかったです。ちょうど1年前は、毎日毎日、必死に自分のプレーがすぐにできるように、トレーナーに相談してリハビリをして、手伝ってもらいました。
――手術した場所を怖がらずにプレーできるようになったのはいつごろでしょう。
いつだったですかねえ。はっきりとこの日だ、ということは分からないんです。ただ、春季キャンプの終盤くらい、練習試合のときだったと思います。相手投手と相対して、自分が打席に立っている、というところまできたんだ、という。その感覚がこれからプレーできるぞ、と。
――打つ恐怖心は……。
それは実際に少し残っていたようにも思います。ただいつその恐怖心がなくなったかも定かではないんです。一つ言えることは、開幕のときには恐怖心というのはまったくなくなっていました。
――その開幕戦は開幕スタメン、しかも1番で起用され初打席初安打(3月25日vs.中日=京セラドーム大阪)という素晴らしい船出でした。
はい。僕の中ではやはり、今年一番思い出に残る打席でした。あの打席がなければ、1年間やっていけなかったと思います。
――あのときにこれでプロでも十分にやっていけるぞ、と。
いや、その表現は少し違います。どちらかというとホッとしたというほうがあっています。特に大野(雄大)さんが「初球真っすぐでいく」と言われていまして、それを振りにいき空振りでしたから。
――そのプレッシャーの中でバットを振るのは新人選手としては勇気がいります。
ただあの球はボールでした(外角低めのボール球)。それを振りにいってしまう、止まらずに空振りするところが、まだまだ僕の未熟なところです。