3冠達成“大学最強”を証明した筑波大 打倒Bリーグ掲げ、いざオールジャパンへ

平野貴也

プロに勝つための条件

生原主将(右から2人目)をはじめ、オールジャパンへの決意は固い 【平野貴也】

 ただし、プロに勝つのは簡単なことではない。筑波大は、前々回のオールジャパンで東京エクセレンス(78−93)と、前回は優勝したアイシンシーホース三河(54−106)と対戦し、どちらも3回戦で敗れている。アイシン戦は、相手が国内トップクラスのチームだったとはいえ、ダブルスコアに近い大敗を喫した。

 吉田健司監督は、外からのシュート力などで対抗することはできると話し、馬場や杉浦についてもアピールできる部分はあるはずだと期待を寄せたが、実際にプロチームに勝ち切るという点については、厳しい現実があることを認めた。

「どんな外国籍選手がいるチームと当たるかというのが大きいと思う。昨年のアイシンのように強烈な選手がいると、学生で太刀打ちするのは難しい。どこまでディフェンスができるか。馬場を走らせれば、多分相手はついて来られない。でも、ディフェンスを頑張って、リバウンドを拾って素早いパスを出せなければ、そんなシーンは作れない。しっかりと守備をセットされてしまう場面ばかりだと、彼の良さは出ない」と、難局は避けられないという見解だ。

大敗を糧に本気の挑戦

 アイシンのような優勝候補の筆頭との対戦を避けられるような組み合わせに恵まれ、その上でディフェンスが機能すれば……。打倒Bリーグ達成の可能性には、いろいろと条件が付いてしまうのが現実だ。それでも、今年の筑波大は、昨年や一昨年とは明らかに姿勢が異なる。主将の生原秀将(4年・徳島市立高出身)は、オールジャパンに対して強烈な意識を持っている。「インカレが終わると、オールジャパンはプロが相手だから無理だろうという雰囲気が出てしまうところがあったけど、自分が主将になったら絶対に嫌だと思った」と本気で挑戦する意志を明確に示した。

 始めから結果が決まっていることなど面白くない。大敗を喫したから生まれた決意もある。生原は「去年、何もできなくて悔しくて、アイシンを倒したくて1年間やってきたと言ってもいいくらい。チームのリーダーとして(ゲームメイクをする)ポイントガードとして馬場や杉浦といった注目されている選手だけじゃなくて、ほかの選手も良いなと言われるように仲間の魅力を引き出したい」と語気を強めた。

 学生対プロでは当然、プロが優位だ。しかし、プロチームとしては負けられないというプレッシャーを背負わなければいけない戦いになる。大学バスケット界では、勝って当たり前と思われる存在となり、インカレを優勝してプレッシャーから解放された吉田監督は「今度は、Bリーグが必死でしょう。プロリーグができて注目されている時に、学生に負けたら何を言われるか分からないでしょうから」とニヤリ。

 Bリーグ開幕年で熱気高まる日本バスケット界の次世代を担う若者たちは、学生最強の枠に留まらない活躍を狙う。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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