【全日本プロレス】宮原が諏訪魔を退け三冠V6成功 渕&大仁田“120歳”コンビが初戴冠

高木裕美

秋山全日本初となる両国大会は、宮原が諏訪魔を退け三冠V6達成で締めた 【写真:前島康人】

 27日の全日本プロレス「カーベルpresents 全日本プロレス in 両国国技館」東京・両国国技館大会では、豪華5大タイトルマッチなどが行われた。秋山準が社長となってから初の両国大会を成功させたことで、来年8月27日に2年連続となる両国大会の開催が発表された。

 メインイベントの三冠ヘビー級選手権試合では、王者・宮原健斗vs.諏訪魔の新旧エース対決が実現。平成生まれの若き王者が、前王者で今年の「王道トーナメント」覇者である看板エースを退け、6度目の防衛に成功した。

「諏訪魔と両国という大きな2つをクリアできた」

【写真:前島康人】

 諏訪魔は今年の1.2後楽園大会で秋山準から三冠ヘビー級王座を奪取。しかし、その代償として右アキレス腱完全断裂の重傷を負い、王座を返上。7.14後楽園大会で復帰するまで、半年間戦線を離脱していた。その間、新エースに台頭したのが宮原だった。宮原は2月の王座決定戦を制し新王者となると、これまで5度の防衛に成功し、全日本マットに新たな風を呼び込んだ。

 宮原は序盤戦でエプロンから鉄柵へのフェースクラッシャーを繰り出すと、諏訪魔もトップロープへのギロチンホイップ2連発、フロントネックロックでお返し。さらにバックドロップ、万力スリーパーからラストライドを狙うも、宮原は徹底的に阻止。ならばと諏訪魔は左のラリアットからバックドロップ。しかし、宮原も再度ラストライドを切り返してブラックアウトを炸裂する。諏訪魔も必死に抵抗するが、宮原はなおもブラックアウトを連発すると、シャットダウン式スープレックスでフィニッシュ。新エースとしての決意と実力を証明した。

 特別立会人の小橋建太さんから、腰に三冠ベルトを巻いてもらった宮原は「これから全日本から目を離さないで見ていてくださいね。っていうか、オレから目を離すなよ」とリング上からマイクアピール。「諏訪魔は全日本を守ってきた人。だけど、指をくわえて全日本の象徴だと見ているつもりはない。オレは主役になるために全日本に来た。二番手三番手には興味ない」と、諏訪魔のこれまでの功績は認めた上で、「諏訪魔と両国という大きな2つをクリアできたことは、大きな自信になった。オレ自身、全日本の進化に負けたくない」と、まだまだ成長を続ける全日本マットと共に、自分もどんどんチャンピオンとして上を目指していくと語った。

ザ・ビッグガンズが至宝を取り返す

【写真:前島康人】

 セミファイナルの世界タッグ選手権試合では、大日本プロレスの関本大介、岡林裕二組にゼウス、ボディガー組が挑戦。パワーファイター同士による超肉弾戦の末、ザ・ビッグガンズが王座返り咲きに成功した。

 序盤戦、ボディガーが岡林、ゼウスが関本を同時にリフトアップしてみせると、関本とゼウスがブレーンバスター合戦。王者組はゼウスにサンドイッチラリアット、合体アトミックドロップを打ち込むが、同時アルゼンチンバックブリーカーはボディガーに逃げられて不発。15分過ぎ、関本がエプロンからゼウスをブレーンバスターで投げる荒技に出ると、ダイビングボディープレスで勝負を賭けるがカウント2。王者組の眉山を阻止したザ・ビッグガンズは、関本にダブルインパクト、岡林に合体チョークスラムを炸裂。ゼウスが関本をジャックハマーで仕留め、ついに至宝を取り返した。

ハル薗田さんの遺影と共に記念撮影

【写真:前島康人】

 アジアタッグ選手権試合では、渕正信、大仁田厚の全日本同期コンビが青木篤志、佐藤光留組を撃破。記念すべき第100代王者となる、合計120歳の超ベテラン王者組が誕生した。

 王者組の年齢を上回る、デビュー42年のキャリアを誇る挑戦者組。大仁田は開始早々、持参した有刺鉄線電流爆破バットの電源をONにし、全日本マットにデスマッチを持ち込もうとするが、渕にいさめられてこれは封印。しかし、リング上にテーブルを持ち込み、佐藤に机上パイルドライバーを見舞うと、場外でもイス攻撃。さらに10分過ぎには佐藤の顔面にレッドミストを噴射する邪道ファイトを連発。全身を真っ赤に染めた佐藤に、渕が渾身のバックドロップ7連発を見舞い、3カウントをもぎ取った。

 大仁田と渕は、若手時代に共に「若手三羽烏」と呼ばれ、1987年11月28日に飛行機事故で亡くなったハル薗田さんの遺影と共に、ベルトを抱えて記念撮影。かつての盟友の29年目の命日を前に、初めて2人でベルトを巻いた感慨を噛み締めるが、そこに”ガケっぷちレスラー”井上雅央が現れ、「自分も2人みたいに長くプロレスを続けたい」と、食い扶持を得るための王座挑戦をアピール。パートナーには秋山を指名するずうずうしさに、秋山も「オレ?」と困惑しながらも、大仁田のこれ以上の邪道ファイトを社長として阻止すべく、「行くぞーっ!」と出陣を決意した。

DDT同門対決は石井慧介に軍配

 DDTプロレス同門対決となった世界ジュニアヘビー級選手権試合では、石井慧介が高尾蒼馬を破り悲願の王座初戴冠。試合後、青柳優馬が次期挑戦者に名乗りを上げた。

 ちょうど超世代軍が誕生した1990年、5歳の時から全日本を見続けているという超全日本ファンの石井は、憧れのベルトを前に、後輩の高尾に押される展開に。それでも、タイガースープレックス、ダブルアームDDTを繰り出し、こだわりのニールキック一閃。これをカウント2で返されると、ここ一番の必殺技シューティングスタープレスで勝負を決めた。

 夢の中にいるかのような感動的な余韻を、青柳の挑戦表明で打ち破られた石井だが、逆にこれが現実であると実感し、その場で挑戦を受諾。「アジアタッグに続いて世界ジュニアも奪取して、本当に最高の人生。でも、気を引き締めて、防衛を続けていく」と、夢の時間がもっともっと長く続くよう、ベルトを守り続けると誓った。

イケメンが真紅のベルトを奪取

【写真:前島康人】

 GAORA TVチャンピオンシップ選手権試合では、WRESTLE-1の黒潮“イケメン”二郎が中島洋平から王座を奪取した。

 入場からファンの心をわしづかみにした黒潮は、アウェーとは思えない大「イケメン」コールを味方につけると、中島のハイキック、ジャーマンスープレックスをカウント2でクリア。飛びつき式雪崩式フランケンシュタイナー、飛びヒザ蹴り、ファルコンアロー、イケメンサルト2連発からのイケメンクラッチで3カウントを奪取した。

 スイカ柄のジャケットに真紅のベルトを背負った黒潮はご満悦で退場。一方、“相思相愛”のベルトを奪われた中島はガックリとうなだれた。

GET WILD復活も早くも空中分解!?

【写真:前島康人】

 プロレス界を代表する名物タッグチームGET WILD(大森隆男、征矢学)が、13年3.17両国大会以来、実に3年8カ月ぶりに復活。秋山準、ケンドー・カシンの異色タッグと対戦するも、黒星スタートで早くも今後に暗雲が漂った。

 征矢の全日本退団により自然消滅していたGET WILDだが、10月の一騎打ち実現でタッグとして復活。久しぶりにおそろいのタイツでそろい踏みを果たすと、試合中にはおなじみのポーズも飛び出すが、まだギクシャクとした空気は抜けず。カシンが大森にイスを持たせ、イス攻撃の罪を着せたこともあり、征矢はさらなる疑心暗鬼に陥ってしまう。さらにカシンは策士ぶりを発揮。大森が秋山に狙ったアックスボンバーを、自分が身代わりとなって犠牲になると、ピンチを救われた秋山がリストクラッチ式エクスプロイダーで快勝。試合後、握手で絆を深めた秋山組に対し、GET WILDはバラバラに退場。さらに会場にはカシンが持ち去った卵を求めて大怪獣モノが出現するも、ここは菊地毅そっくりのモグラ男がカシンの身代わりとなって襲われた。

闘病中のドーリングが力強く来春の復帰を宣言

【写真:前島康人】

 現在ガンと闘病中のジョー・ドーリングが来場し、リング上からあいさつ。「どんな薬より、どんな先生よりも、ファンの皆さんが私のガンを治してくれます」と感謝したドーリングは、「来年1月に必ずこのリングに戻ってきます。アイルビーバック、アイラブユー!」と、力強く来春の復帰を宣言した。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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