- WOWOW
- 2016年11月18日(金) 10:40
ユーモアのフェデラー、はぐらかし上手なジョコビッチ

少し前に記者会見に臨むテニス選手の意識について書きましたが、今回は取材者側の視点で記者会見について書いてみたいと思います。
私は以前とは逆に選手を取材する側に立っていますが、会見やインタビューでは、選手の別の一面、“素”が出るのが面白いですね。
例えばロジャー・フェデラー(スイス)は、インタビューでこちらが一番聞きたいことを読み取って、話してくれる選手です。ユーモアも交えた受け答えで、聞く側のことを本当に考えて話してくれているんだなというのが分かります。
ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の記者会見にも彼らしさがよく出ています。彼は時々、聞かれているのと違うことを答える場合があります。例えばフィジカル面の不安について聞かれているのにそれには答えず、別のことを話したり。言葉を換えれば、自分の言いたいことしか発しないのです。
実はこれは、私たちツアー選手が「メディア対応」として習うことでもあります。会見ではカチンとくるようなことを聞かれる場合もありますが、質問者はカチンときた表情やそれが言葉に表れるのを狙っているのですから、選手は誘いに乗るべきではありません。どんなに嫌なことを聞かれても、自分の発したいことしか発しないと決めていれば、発信されるのはその内容でしかありません。
私たち選手はそうしたノウハウを研修で学ぶのですが、ジョコビッチもそれを実践していると感じることが何度かありました。
選手もプロですから、発信したくないことは発信しないというのは“あり”なのです。“その話題はもうやめようよ”“この話は必要ないんじゃない”という感じでうまくはぐらかして、自分の話したいことだけ話す、そこはさすがトッププレーヤーの貫禄だと思います。
ありのまま話す派の錦織
錦織圭選手(日清食品)は逆に、どちらかというと全てありのままに話すタイプの選手です。ケガの状況など「そんなに細かく話すの?」と感じたこともありました。ですが、それもまた彼らしさなのでしょう。
選手というのは、例えば身体的な不安を抱えていても、それはなるべく表には出しません。はぐらかしているのが分かれば、聞いている側が良くない印象を持つこともあるかもしれません。しかし、選手にも本音と建て前があって、すべて正直に話すのは難しく、ケガや不安材料については事細かに言わないのが常なのです。
ところが少し前までの錦織選手は「そこまで言ってしまっていいの?」というくらい、ケガの状態など、思わしくないことも話していました。さすがに最近は少なくなりましたが、以前は正直過ぎるくらい正直だったという印象です。
最近は少し余裕が出てきたのか、聞いている側を楽しませようというところも出てきました。また、一番感じるのは、頭の中が整理されているということです。試合直後にインタビューしても、状況を一つずつ整理できていることが発言から読み取れます。そこはさすがですね。
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