サウジ戦、日本の理想的なプランとは? オランダ人監督の手腕で首位を走る古豪

河治良幸

両監督が切る交代カードが勝敗を分ける?

サウジアラビアを率いるファン・マルバイク。組織のベースを引き上げながら、個の特徴を発揮させる手腕は見事だ 【スポーツナビ】

 加えて、サウジアラビアはFKの得点力も見逃せない。CKは長身のターゲットマンが少なく、正直それほど怖くはない。オーストラリアのセットプレーも跳ね返した日本の選手たちがしっかり集中して対応すれば、まず一発でやられることはないはずだ。その一方で、直接FKは左利きのアルシェハリにと右利きのアルジャッサムがそれぞれ得意な角度から枠内の厳しいところを狙ってくる。UAE戦ではボールに触りながらアハメド・ハリルにゴールを許したGKの西川周作も、彼らの描く軌道をしっかりとイメージして備えるはずだ。

 もちろん理想は危険なエリアでファウルしないこと。そのためにも高い位置でボールを奪い、ロングボールを蹴られても競り合いのセカンドボールを相手に拾われないように予測をともなったハードワークを心掛けていきたいところ。そこはボランチの長谷部誠や山口蛍はもちろん、トップ下に入る清武弘嗣あるいは香川真司といった選手も意識して臨むべきだろう。

 スタメンで出てくる選手のサウジアラビアの個人能力はアジアでも高水準だが、飛び抜けているわけでもない。個々のクオリティーは明らかにオーストラリアの方が上だ。ただ、サウジアラビアの怖いところは途中投入の選手がことごとく良いパフォーマンスを見せ、チームの勝利に貢献していること。この点についてはハリルホジッチ監督も「サウジアラビアの場合、毎試合最後に勝つ。それは交代で入ってくる選手のおかげだ。彼らが違いを生む」と警戒を強めている。

 その代表的な選手が22歳の小柄なFWであるフハド・アルムワッラドで、短い時間であれば、鋭いドリブルや飛び出しによってディフェンスラインの裏を狙ってくるため、スタメンのメンバーにも増して脅威となり得る。また、ハザジも守備に疲労の出てくる途中から入ってきた方がゴール前で対応しにくい選手だ。ベンチに特徴の違うアタッカーをそろえている意味では日本も同じだが、接戦で終盤を迎える可能性は高いだけに、両監督が切る交代カードが勝敗を分けることになるかもしれない。

日本は何とか早い時間帯にリードを奪いたい

キャプテンでもあるCBのハウサウィ(右)ら守備陣は最終予選で3失点に抑えている 【写真:ロイター/アフロ】

 サウジアラビアの守備に関してはそれなりにバランスが取れているものの、そこまでチーム全体でコンパクトやタイトというわけではない。だが、結果的にここまで4試合3失点で、2試合が無失点という事実は認めざるを得ない。その要因はオマル・イブラヒム・オスマンとオサマ・ハウサウィの両センターバック(CB)とGKヤセル・アルモサイレムが形成する“守備のトライアングル”がほとんど崩されることなく機能していることに他ならない(アルモサイレムは負傷で今回の来日メンバーには入っていない)。

 どれだけサイドの深い位置やバイタルエリアの手前に入られても、ゴール前が破られなければスーパーゴールでもない限り失点しない。そこはファン・マルバイク監督が選手たちに強調しているはずだ。日本としては中盤のサイドに生じるスペースを有効活用しながら、FWが両センターバックの脇を突いてラストパスに合わせるような形を生み出したいが、0−0の展開で早い時間帯にこじ開けるのはそう簡単ではない。

 それだけに相手のビルドアップのミスを誘い、高い位置でボールを奪ったところからのショートカウンターやセットプレーのチャンスを生かして先制点を奪いたいところだ。特にCKの守備は長身選手が少ない上に、しばしばボールウォッチャーになりマークを見逃してしまうケースが起こるため、これまであまりセットプレーからの得点を取れていない日本にも得点チャンスがあるはず。

「日本が持っていないフットボールインテリジェンスを彼らは持っている」

 ハリルホジッチ監督がそう認めるサウジアラビアとの試合は、同点のまま時間が経過するほど勝ち点3の見通しが難しくなってくる。もちろん後半アディショナルタイムに山口の劇的なゴールで勝利したイラク戦のように、いかなる状況になっても勝利を諦めるべきではない。だが、ある程度の主導権を握ることが予想される中で、何とか早い時間帯にリードを奪い、さらに相手の守備の隙を突いて追加点のチャンスが得られるような展開に持ち込むことが、首位のチームをたたいて最終予選の前半戦を終えるための理想的なプランだ。

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著者プロフィール

セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は1万枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。「タグマ!」にてWEBマガジン『サッカーの羅針盤』を展開中。

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