【スターダム】宝城カイリ、目指すは紅白二冠王者!? 白いベルトを「自分の色に染めたい」
欠場中はネガティブ思考に 復帰後は“素”のマイクも
脳震盪を起こした後はネガティブな考えに落ちた時も。それでも復帰戦で改めてプロレスが楽しいと感じた 【スポーツナビ】
今振り返ると、こういう経験も必要だったと思います。でも初めて、この試合で「プロレスが怖い」って思いましたね。(イオが放った場外へのパワーボムで)後頭部をゴチンと打ってしまったのですが、「まあ、いけるかな?」と思って続けたのですが、やっぱり朦朧(もうろう)と無意識でやっている感覚でした。
――その中でなんとか勝利したと。
そうですね。それは自信にはなりました。
――しかし、その後2週間の欠場が発表されましたが、実際その時はどんなことを考えていましたか? 恐怖みたいなものが残った?
後から調べたのですが、脳震盪などを起こすと、自律神経に影響が出て情緒不安定になるようなんです。だからケガをしてから1週間は、ネガティブになってしまったというか……。普段は私、落ち込んだり、どん底まで落ちたりしないんですけど、周りの人にメッセージを送らないとどうにかなってしまうぐらい、落ち込んでしまいました。
1週間の間はプロレスのことを考えたくないぐらいになっていたのですが、でもやっぱりみんなが頑張っているという情報を聞いたり、風香さんやみんなからのメッセージで励まされました。
――体が動かせるようになってからはすぐに練習を始めた?
試合をする前に、自分を追い込んで、受身をバンバン取ったり、「これだったらいける」という自信を得たかったので、ハードメニューをやりました。もしそれでフラフラしたりしたら、まだダメだと思ったし。そういうところで確信を得てから、ドクターの許可ももらって、復帰の準備をしました。
――復帰戦では美邑弘海選手との対戦でしたが、ケガ明けの試合というのは、自分の中で感覚のズレというのはありましたか?
いや、もう楽しい気持ちが100%でしたね。試合ができる喜びを改めて感じました。楽しかったです。
――その感情は試合後のマイクアピールでも伝わってきましたね。ちなみに、宝城選手の“絶妙な”マイクって、あれはいつ頃から?
いつでしたっけ(笑)? 多分、赤いベルトを獲った時ぐらいからですね。たまたまメインイベントを務めさせていただくことがあって、最後は(ファンの方に)笑顔で帰ってもらいたいと思っていたというか、そういう気持ちがあって、ですかね。
――それこそコメントは事前に考えたりしている?
ないですよ! 逆に準備したりすると棒読みになっちゃうので、その場で出た素の感情です(笑)。リングの上ではすべてをさらけ出そうかなと思っていて、試合でもそうですし、別に格好悪くてもいいかなと思ったり。
――ということは宝城選手の“素”がそういうキャラだったと?(笑)
そうなんですかね?(笑) そうなのかもしれないですね。変なのかも。
「ゆず季さんの防衛回数は意識したい」
尊敬する愛川ゆず季さんの8度の防衛を意識し、白いベルトを自分色に染めると話す 【写真:前島康人】
ライバルというよりも、戦友というか。一番苦しい時を力を合わせてきた仲間なので、支えあっている感じですかね。2人とも先輩ですし、2人ともそれぞれいいところがありますし。
――それこそイオ選手とは赤いベルトを巡る争いもしてきましたが、一方の岩谷選手とはあまり対戦が多くないですよね?
シングルはないですよね。全然。
――それこそ初白星の相手が岩谷選手なんですよね。
そうです。(12年3月の)後楽園での世代闘争の試合で勝っているんですよね。先輩なんですけど、節目節目で戦っていますし。やっぱり同じ山口県出身ですし、昔はすごく意識していて「負けたくない」って思っていたんですけど、今は麻優さんもファイトスタイルも変わってきたし、キック主体になって。受身もうますぎるし、尊敬です。シングルで戦ってみたいですね。最近シングルでもタッグでも戦う機会がないし、どうなるか分からないですし、やってみたいです。
――さて、16年も残りわずかとなってきましたが、今年の残り2カ月の展望、そして来年以降の野望などはありますか?
やはりキャリアが4年10カ月過ぎて、年齢もあれですし(笑)、残り何年(プロレスラーが)できるか分からないですけど、もっとプロレスを楽しみたいというか。それと後輩たちにも先輩に教えてもらったことをいろいろ伝えていきたいですね。
スターダムとしては今年が人も増えて一番にぎやかになったというか、今月もデビューする選手もいますし、もっともっと盛りだくさんになって、来年はもっともっとたくさんの方に見てもらえるようにやっていきたいですね。
――個人としてはどうですか? 白いベルトの防衛ロードも意識するところかと思いますが?
そうですね。白いベルトは自分の色に染めたいかな。サンタナの防衛回数については謎なんですけど(笑)、ゆず季さんの防衛回数は意識していきたいです。
――それでは最後に、後楽園の試合に向けての意気込みをお願いします。
今回の白いベルト戦は、急に組まれたというか、チェルシーとはこれまでの因縁もなく、ファンの方も乗りづらいとは思いますが、そこでいかに盛り上げるかが自分の今回の課題だと思っています。メインにはイオさんと陽子さんという注目度の高い試合なので、その試合とも内容で勝負できるように、自分なりに作戦を狙いたいと思います!
(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)