序盤戦で表れた旧NBL勢、旧bj勢の差 大阪vs.三河を手がかりに読むリーグ動向

カワサキマサシ

大阪・桶谷HC「王者の背中は見えた」

大阪の桶谷HCは試合後「王者の背中は見えた」と手応えを口にした 【素材提供:(C)B.LEAGUE】

 大阪vs.三河の第1戦の第1Qに表れたように、今の旧bj勢は未知の対戦相手に戸惑っている段階。マッチアップする相手選手のサイズや、個人、チームとしてのプレースタイルもbjの中だけの戦いとは違う。それが序盤戦の、旧NBL勢vs.旧bj勢の対戦結果に表れていると言えるだろう。やがて慣れてくれば、実力差は接近してくるはず。ただし、慣れるだけではその差は縮まったとしても、追い越すことはできない。そのために必要なことは、個々の成長であると大阪・桶谷HCは言う。

「昨日も今日も、王者の背中は見えたと思います。そこで勝ち切るためには、相手よりも成長し続けないといけない。チームとしてしっかり戦うということは前提ですが、それにプラスアルファ、選手個々が成長していくことがいちばん大切。そのためには爆発的に、急激に成長することが必要かなと思います。急激に成長するには、厳しさのある集団になっていかないといけない。そのために個々が自分を律して、己と向き合って成長していく。そういう姿勢の中で、なにかのきっかけで爆発的に伸びるのかなと思っています」

 一方で三河の鈴木HCは試合後に、旧bj勢の大阪と対戦した感想についてこう語った。敵地での会見で残したコメントなので、多少のリップサービスが含まれているかもしれないが、語る表情は真剣そのものだった。

「(大阪は)ディフェンスもオフェンスもアグレッシブに、攻撃的に激しくやってくるチームという印象です。2勝しましたがチームの力は、そんなに大きく違うわけじゃないですし、bjのチームはどこもハードにプレーしています。大阪さんは新規参入というようなチームではなく、過去にもbjで優勝した実績もある。チームがそういったプライドを持って挑んでくるので、僕らも最初から最後まで油断できない試合でした。結果的には2勝しましたけれど、将来は恐ろしいチームになるんじゃないかなと思っています」

旧bj勢に必要な危機感

 大阪と対戦時の三河は日本代表組の橋本竜馬、比江島慎がけがを抱えていて、エースの金丸晃輔も病み上がりの状態。橋本と並ぶ存在のポイントガード柏木真介も、脳振とうを起こした影響でこの2日間はプレーしていない。そういうことを鑑みても、現状のチーム状態は「6割くらい」(鈴木HC)だという。開幕からわずか1カ月で大阪もチームが100パーセントに仕上がっているわけではないが、強豪とはいえ60パーセント程度の状態のチームに対しての結果には、真摯に向き合わねばならない。

 これからシーズンが進むにつれて、どのチームも完成度を高めていく。旧bj勢が旧NBL勢を上回る速度で成長を果たさねばならないことを皮膚感覚として得ているなら、現状の差はいずれ縮まるだろう。しかし、“いずれ”とのんびり構えている時間はない。B1チームにはシーズン後に、成績によってはB2降格というシビアな現実が控えている。シーズンが始まったばかりとはいえ、待ったなしなのである。

 危機感と背中合わせに戦う中で、旧NBL勢と旧bj勢が互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、成長していく。これからのBリーグは、より面白くなりそうだ。

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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