序盤戦で表れた旧NBL勢、旧bj勢の差 大阪vs.三河を手がかりに読むリーグ動向

カワサキマサシ

実力に差があることは否めない結果に

Bリーグの序盤戦を旧NBL勢vs.旧bj勢の構図で見ると、明確な差が表れた 【写真:アフロスポーツ】

 NBLとbjリーグが統一されたBリーグが開幕して1カ月。かつては「実力のNBL」「人気のbjリーグ」と評され、そこには両者の競技力に差があることがほのめかされていた。現役時代に日本代表の中心選手として活躍し、現在は旧bjリーグの秋田ノーザンハピネッツでヘッドコーチ(HC)を務める長谷川誠も、昨季のbjリーグファイナルズの会見で「自分は現役でbjもNBLも経験しているが、bjは正直2部だと思う」と、歯に衣着せぬコメントを残している。

 Bリーグになって公式戦で両者の対戦が実現したわけだが、その実力差は前評判通りのものなのか。開幕してからここまでの約1カ月間に行われた旧NBL勢と旧bjリーグ勢の対戦を勝敗で振り返ると、その結果は旧NBLの33勝・旧bjの11勝と、旧NBL勢の圧勝。その中で10点差以上をつけての勝利となると、旧NBLの19勝に対して旧bjはわずか3勝にとどまる。10月8日には旧NBLの栃木ブレックスが108−56と大差をつけて、旧bjの仙台89ersを下したゲームもあった。これらの結果だけを見れば、実力に差があることは否めない。それは果たして、埋め難いものなのか。

 その中で10月15・16日の大阪エヴェッサ(旧bj)vs.シーホース三河(旧NBL)は、Bリーグの今後の趨勢(すうせい)を知る、ひとつの手がかりになるようなゲームだった。

NBL6度の優勝を誇る三河に大阪も2連敗

日本代表の比江島慎(6番)を中心に、強者の貫録を見せつけた三河 【素材提供:(C)B.LEAGUE】

 15日の第1戦。大阪は第1クォーター(Q)で三河に圧倒され、7−31と大差をつけられる。三河はスーパーリーグ時代から数えて6度の優勝を誇り、最後のNBLとなった昨季は準優勝。オールジャパンも9度制している。大阪はbjリーグの開幕から3連覇を果たした実績があるが、これが彼我(ひが)の差。そう思わせる、圧倒的な内容だった。

 しかし大阪は後半に持ち直し、第3Qは逆に30得点を奪う。第4Q序盤には3点差にまで迫ったが、最後は力尽きて69−76で星を落とす。以下は、敗れた大阪・桶谷大HCの第1戦後のコメント。

「第1Qは、王者の洗礼を受けたなという試合展開でした。ただ第1Qで自分たちが戦っていたのか、ディフェンスでファイトできていたのかというと、自分たちは受け身になってしまっていた。そういうメンタル面でのソフトさが、第1Qに出てしまった。今日は全体的にディフェンスでファイトできていた時間帯は、自分たちのペースでプレーできていました。ですが逆に、ソフトになって受け身のディフェンスをやっているときに、相手の思うように良いところを簡単に出させてしまった」

 翌日は大阪が試合序盤にリードを奪い、前半終了時に43−43のタイスコア。第3Qで相手のインサイド攻撃を止められず引き離されるが、第4Qは点の取り合いに真っ向から挑む。このQで三河の25点を上回る29点を奪ったが、第3Qでのビハインドが響いて88−93。敗れはしたが、勝利した三河の鈴木貴美一HCに「最後まで勝敗がどちらに転ぶか、分からないゲームだった」と言わしめるまでに追い詰めた。

 旧NBLでトップレベルにあったチームに連敗を喫した大阪の桶谷HCが、この2日間を振り返る。

「自分たちが成長するための道しるべじゃないですけれど、このレベルに到達しないといけない、ここに勝たないければいけない。そういうことが、改めて分かりました。選手たちも緻密に攻められることを体感して、自分たちもいかに無駄なことをせず、緻密でしたたかにプレーするべきだということが、本当に分かったんじゃないかと思います。そういうものを、選手たちの成長の糧にしたいと思います」

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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