4年後の五輪金メダルを本気で狙う13歳 国内敵なし、張本智和のロードマップ

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課題はメンタルと強打

ジャパンオープンU−21決勝での様子。昨年のインターハイ王者である三部航平(専修大)をストレートで下した 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 仮にこの難関をクリアしても、目標はまだ先にある。金メダル獲得には、中国選手との対戦は避けて通れない。先述のアジアジュニア選手権にて張本は、団体準決勝で破った中国選手とシングルス決勝で再戦し、1−4と敗れた。中国選手の修正能力の高さを「2回目にやる時の準備がすごい」と感じとった張本。だが、より大きな敗因は自分自身にあったと振り返る。

「(技術力は)相手と五分五分くらいはあったんじゃないでしょうか。でも『次も絶対勝つぞ』という気持ちが薄かったです。『また団体戦みたいにサーブが効けば勝てるかな』と思っていて、でもまったく効かなくて。それで勝手に(自分が)焦ってやられたので、そこがダメだったと思います」
 ここぞという大一番で全力を出し切るメンタルは、金メダル獲得に必要不可欠な要素だ。中国選手との対戦を通して張本は、13歳にしてメンタル強化の重要性を感じ取った。

 次なる目標は、来年1月に行われる全日本選手権ジュニアの部優勝。技術面での課題には、勝負どころでの強打を挙げた。

「(敗れた決勝戦は)台から下げられてゆっくりしたプレーだったので、そうなったら焦らず、強い一撃が打てるようにしたい。また今年の全日本ジュニアで優勝するには、昨年優勝の木造勇人選手(愛知工業大名電高2年)に勝たないといけないです。自分がもしもっとパワーがついて、一球でいきなり抜けるボールがどんどん増えたら勝てると思います」

 抜群のセンスにパワーが加わるとどこまで強くなるのか、つい期待してしまう。13歳の張本は今がまさに成長期。小学5年時に155センチだったという身長は、2年経ち169センチにまで伸びた。

まず狙うは来年の世界卓球代表入り

イナバウアーならぬ「ハリバウアー」。名付け親は男子代表の倉嶋監督だ 【写真:アフロスポーツ】

 張本が東京五輪での金メダルを明確な目標として定めたのは昨年、小学6年生のとき。それから1年経ち、自身の成長に手応えを感じつつあるようだ。「以前は(自分が)どれくらい強くなれるのか分かっていませんでした。今は世界ランキングも上がって、いい感じになっているなと思います」

 張本は自身を振り返る際、13歳とはとても思えないほど冷静に自己分析をしてみせる。その冷静さが解けるのは勝利の瞬間。ジャパンオープンの21歳以下の部を制した際は後方に仰け反りながらガッツポーズし、男子代表の倉嶋洋介監督から「イナバウアー」にちなんで「ハリバウアー」と名付けられた。また全中優勝では床に大の字になって勝利を噛み締めた。

「(全中では水谷のポーズを)単にカッコ良いと思っていたのか、意識せずにああいう格好になっちゃいました。ツイッターで水谷さんに『見たことあるポーズだな』って言われました(笑)」

 恥ずかしそうに笑った後、再び冷静な表情にもどると、これからのロードマップを語ってくれた。「(来年5月の)世界選手権代表もまだ決まっていないので、それを狙えるような実力をつけて、将来は東京五輪やその後の五輪で金メダルを取れるようにしたいです」

 これからも幾度となく勝利の雄叫びをあげるに違いない。東京五輪という舞台で張本は渾身(こんしん)のガッツポーズを披露することができるのだろうか。

(取材・文:藤田大豪/スポーツナビ)

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