18歳の新星・阿久津咲子が代表へ 新たなスタートを切るシンクロ日本
ポテンシャルを感じさせる阿久津
代表入りが確実となった18歳の阿久津(写真)。171センチと長身で、ポテンシャルの高さが光る 【沢田聡子】
柔軟性が武器の阿久津はジュニア時代から有望選手として活躍しており、今年7月に行われた世界ジュニア選手権(ロシア・カザン)ではソロで4位に入った。選考会でのダイナミックな泳ぎは、素人目にもポテンシャルの高さを感じさせるものだった。東京シンクロクラブで阿久津を指導する金子正子コーチには、すべてを出し切ったとは見えなかったようだが、「最近大人っぽくなった」と評価もしている。ケガが多かった以前に比べ、精神的に成長が見られるという。阿久津本人にも自覚はあるようだ。
「高校生までは、すぐ『痛い』と言って……思い返すと『子どもだったな』と自分でも思う。今はちょっと痛くても『今休んだら絶対に遅れるし、自分のためにもならない』と我慢してやっていたら、練習もどんどん楽しくなって、昨日よりもできるようになったことがうれしくなる。金子先生にも『大人になったね』と言われて『ああ、これが大人になったってことなんだ』と」
「まだ自分が今(日本代表の)Aチームに選ばれているのも信じられない」という阿久津には、初々しさが漂う。
「お姉さんたちは五輪の時からずっと(代表で)やっていたので……。まず体作りからしっかりやって、とにかく置いていかれない、一生懸命やることを意識しながら頑張ります」
土台役として必要な握力
「ずっとプレッシャーしかかけられていないんですけど、今日の泳ぎはそんなことも気にしないで、自分らしく泳ぎ切ろうと思って泳いだらいけた。これからもプレッシャーに押しつぶされないようにしたい」
三井には、リオ五輪のメダルを見せてもらったという。
「今まで自分が取ってきたメダルよりすごく大きくて重かった。いろいろ詰まっているメダルだなと思いました」
三井とは、リオ五輪後クラブで一緒に練習し、代表で泳ぐためのアドバイスをもらっている。代表入りが確実となり、これからは厳しい練習に明け暮れることになるが「覚悟は決めています」と言う。「目標は4年後の東京五輪。とにかく頑張るしかない」という阿久津は、前を向いて走り出している。
阿久津が受け持つリフトの土台役には、握力が必要だ。今の握力を問われた阿久津は、恥ずかしそうに答えた。
「(左右)どちらも28ぐらいです。『35ぐらいないとダメ』って言われたんですけど」
握力をつけた時には、東京五輪でメダルをつかむ力もついているに違いない。