西武・山川穂高「三冠王を目標に」 天性の本塁打アーチストが語る夢
毎日打撃の動画を見て「日々研究です」
9月9日で同級生の菊池、始球式を務めたAKB48の惣田紗莉渚さん、ゲストの「マッチョ29」とともにお立ち台に上がる山川(右から3人目) 【写真=高塩隆】
――好打者の多くは強く振っていない感じですよね。
中村さんも投手が投げるボールの力を利用して、“パーン”と打つ。それがやっぱりすごいと思います。でも、なかなかうまくいかないことが多くて、プロ野球選手は難しいなって、最近ずっと思っています。打てる気がしないわけではない。そういった気持ちがないときは絶対に打てないですから。でも、打てる気がするのに打てないから、本当に難しいな、と。当然、闘志も自然と湧き上がりますよ。だけど、そこで1個気持ちを抑えられたら。湧き上がり過ぎると、どうしても力が入るので。やっぱり、力を抜くのが難しいんですよね。
――現在は野球をプレーしていて楽しさは?
2軍に落ちたときに楽しくなくなりました。やっぱり、1軍のドキドキ感を経験してしまうと……。2軍でもプレッシャーはないことはないんですけど、1軍のあの大観衆の中でプレーするのとは比べ物にならない。例えばチームの勝敗を左右するチャンスで打席に入ったときとかそうですよね。そういったときに結果を出したときの喜びも、2軍と比べて1軍のほうが何百倍も価値があります。
――とにかく今後も最強スラッガーになるために日々、精進していくだけですね。
打撃は好きですから。毎日のように自分の打撃の動画も見ています。というか、そうしないと不安。自分が打っているときの動画を見て、いいイメージをすべて頭に入れておかないと。フォームが少しでも狂ったら、全部狂い出しますから。それを直すのにも時間はかかる。だから、フォームを大きくずらされないために。朝から晩まで、ずっと打撃のことを考えていますね。寝る前もずっと動画を見て。今日は体が開いているな、トップが浅かったな、と。そうしないと、なんか気持ち悪いし、とにかく日々研究です。
――打撃に答えはないと言われますが、それを……。
探したいです。イチローさん(マーリンズ)でも答えがないと言いますけど……。僕も毎年打ち方が全部違いますし、より良い形を追い求めていけば、もっともっと打てるようになると思っています。
――そして、最大の夢が「三冠王」ですね。
本気です。周囲の人は「アホか」と言うかもしれませんけど、なんか行けそうな気もするんです。本当に自分の形をつかんで、それを143試合続けることができれば……。とにかく、それを信じていますし、何一つうまくいかなくて3年目が終わろうとしていますが、プロ野球人生が終わるまで「三冠王」を目標にしていきたいです。
プロ野球のユニホームにソデを通した入団当初、大きな夢を持っていたとしても現実を知り、方向転換を強いられる選手も多い中で山川は新人時代から抱いていた「三冠王」という打者最高の勲章が目標であることに変わりない。どんなボールを投じられてもずらされない打撃フォームを身につけたとき、ぶれない夢も達成されるかもしれない。
※今季の成績は9月22日時点のもの
<取材・構成=小林光男>