初パラで厳しさ味わう一ノ瀬メイ 強く感じた「勝たなおもろない」

斎藤寿子
 11日、リオデジャネイロパラリンピック競泳の200メートル個人メドレー(SM9)予選に出場した一ノ瀬メイ(近畿大)は、2分44秒33で全体の13位にとどまり、決勝進出とはならなかった。同種目は、一ノ瀬が最も得意としている種目。3月のリオパラリンピック選考会では、当時の自己ベストを4秒16も上回る2分41秒35の日本新記録をマークしていた。今大会ではその記録を上回り、さらに決勝進出することが目標だったが、自己ベストにも届かず、悔しい結果に終わった。

かみ合わない感覚とタイム

得意種目の200メートル個人メドレーで予選敗退した一ノ瀬。レース後、悔しそうな表情を見せた 【写真は共同】

 実際の調子と、感覚とがかみ合わない――。それは競技初日から続いていた。8日に行われた100メートル平泳ぎのレース後、一ノ瀬は悔しそうにこう語っていた。

「泳いでいる感覚は良かったので、タイムが出たかなと思ったんですけど……」

 しかし、自己ベストに1秒以上及ばない1分27秒15。全体9位で予選敗退と、感覚とのズレの大きさに、少しとまどっているようにもうかがえた。

 それでも最後には「しっかりと気持ちを整えて、次のメインである個人メドレーでは自分の力を100パーセント出せるようにしたいと思います」と語り、表情を引き締めていた。

 そうして迎えたこの日、レース前のウォーミングアップでは良い感覚を得ていた。だが、実は不安がなかったわけではなかったという。一ノ瀬は今大会に臨むにあたり、徐々に練習量を落としてきていた。疲労が取れたベストな体の状態で本番を迎えることができれば、2分39秒台も十分に狙えると考えていたからだ。

 しかし、それがもしかしたら体の調子と感覚との間にギャップを生み出したのかもしれない。疲労を感じることなく泳ぐ感覚は、気持ちの面でもプラスとなったに違いない。それが一ノ瀬に「良い感覚」を与えていたのだろう。だが、練習量を落としたことによって、実際の体の動きは鈍っていたのではないか。

 さらに練習量を落としたことで、後半までスタミナが持つかどうかに一抹の不安を覚えていたことも、一ノ瀬は明かしている。結果は想定していた後半での伸びが足りず、世界のトップスイマーたちと同じステージに上がることはできなかった。

 昨年の世界選手権、一ノ瀬は同種目で決勝進出を果たし、8位入賞を果たしている。その時の優勝タイムは、2分46秒31。この1年で彼女がいかに成長しているかが分かる。だが、世界の伸び幅は、それを上回っていた。今回の予選、決勝に進出した8人全員が2分30秒台をマーク。この結果に、一ノ瀬も驚きを隠せなかった。

「世界は予想以上にレベルが上がっていました。やっぱりパラリンピックは違うんだなとあらためて感じています」

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