五輪世代加入で膨らむセレソンへの期待 ジェズスは鮮烈なA代表デビューを果たす
南米予選で2連勝したブラジル
ブラジルはW杯南米予選で2連勝を飾り、順位も6位から2位へ浮上した 【Getty Images】
チッチは、2012年に名門コリンチャンスを率いてクラブW杯を制し、世界王者となった実績を持つ国内ナンバーワンの監督だ。主として4−1−4−1のフォーメーションを用い、選手に攻守両面での連動性を求める。相手にボールを奪われると、できるだけ高い位置で囲い込んでボールを奪い返すか、少なくともパスコースを限定する。MF、サイドバック(SB)、センターバック(CB)が連係して相手のサイド突破に対応し、ボールを奪うとすぐにラインを押し上げ、人数を掛けて攻める。選手たちに常に至近距離でトライアングルを作り、しっかりパスをつないでゴールを目指すことを求めており、ドゥンガ前監督時代のようにCBがトップの選手に無理なロングパスを送ってむざむざとボールを失うようなことはなくなった。
厳格だが、人情味があり、選手の自主性を重んじる。エースのネイマールであろうと戦術的な決まりごとはきっちり守らせるが、頭ごなしに命令したり、ミスをした選手をチームから追放するようなことはしない(前監督時代には、そのようなケースが見受けられた)。選手たちは、失敗を恐れることなく伸び伸びとプレーするようになった。
ジェズスはA代表初先発で全得点に絡む活躍
初先発となったエクアドル戦では、全得点に絡むという鮮烈なA代表デビューを果たしたガブリエウ・ジェズス(左、写真はコロンビア戦のもの) 【Getty Images】
初招集ながらエクアドル戦でいきなり先発で起用されたのが、五輪でネイマールとともに攻撃の主軸を担ったガブリエウ・ジェズスだ。五輪直前、欧州ビッグクラブによる激烈な争奪戦の末に2700万ポンド(約37億円)とも言われる移籍金でマンチェスター・シティ入りが決まった逸材だ(ただし、クラブ間の合意で、年末までパルメイラスでプレーする)。
後半27分、縦パスを受けると、マーカーの後方からボールを追いかけて一気に抜き去り、ペナルティエリア内でGKに倒されてPKを獲得(得点はネイマール)。試合終盤の42分には、左からのライナー性の低いクロスをヒールで流し込み、47分にはさらに見事なミドルシュートをたたき込んだ。チームの全得点に絡むという衝撃的なA代表デビューだった。続くコロンビア戦では厳しいマークを受けたが、それでも巧みなポストプレーでネイマールの決勝点を演出した。
当面はCFのレギュラーポジションをつかんだ格好だ。ジェズスは圧倒的なスピード、優れたテクニック、高い決定力を備える一方で、守備の際にはマークする選手に付いて最終ラインまで戻るなど、戦術面でも重要な役割を果たす。今後、成長を続けて欧州でも活躍すれば、一気に世界的なスターになる可能性がある。