荒井広宙「お騒がせして申し訳ない」 3位→失格→日本競歩初の銅メダル
選手同士では特に何も問題なかった
レース後、カナダの抗議で一度は失格となった 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
――どんな気持ちですか?
ゴールして銅メダルが確定したと思ったんですけど、その後にカナダの陸連から抗議があったということで、一時は失格になりましたが、皆さんのおかげで無事に銅メダルを獲得することができました。本当にありがとうございました。
――どんな形で銅メダル確定を知ったのですか?
女子の20キロ競歩を日本(の陸上)の選手たちで応援しているときに、日本陸連の方が「銅メダル確定したよ」と言いに来てくれて、みんなで「わーっ」となりました(笑)。ああ、良かったなと思って。でも、自分は悪いことをしたとは思ってないですし(レース後に)カナダの選手にたまたま会う機会があって、そのときも向こうから謝って来てくれていて、選手同士というより上の(組織の)人たち同士のアレ(駆け引き)だったのかなと思います。
――相手が謝ってきた?
ソーリーと言って来てくれて、最後はハグをして「ごめんね」という感じでした。彼が怒っているというようには、まったく見えなかった。選手同士では特に何も問題なかったのかなと思います。
――待っている時間(約2時間)が長かったが、どんな心境か?
うーん、ダメだったらどうしようかなとか。でも(本当にメダルを)取れたらどうしようかなとか。ずっと右往左往というか。まあ、結果として銅メダルを取らせていただきまして、日本陸連の皆さんに本当に感謝ですね。
――最初に失格と聞いたときは?
なんでかなと。納得はできなかったですね。レース中にぶつかっちゃうっていうのは、日常茶飯事。スタートのときなどを見てもらえば分かると思います。手やひじが当たってしまうことは、よくあることなので。トラック競技でも1500メートルとかでぶつかっちゃうことは当然あると思うんですけど。日本陸連の方が諦めないで対応して下さって、銅メダルを取ることができました。
――むしろ、相手選手が外から内に斜行したことが原因だったのでは?
そうでしたかね。正直、きつ過ぎて覚えてないんですよ。ちょっと強めに当たったなとは思ったんですけど、特に何もなかったのでレースを継続しました。故意にはやっていないので。
――待っている間は、どっちの可能性を信じていましたか?
どちらでも受け入れる準備は、していました。僕が決められることではないので。選手は、決まったことに従うしかないので。日本に父がいるので「もしかしたら、ダメかもしれない」と電話して「そうか」という感じでしたけど、決まってからまたすぐに電話をして「良かったな」と言っていました。良かったです。
荒井は一度は幻に終わりそうになった、競歩として日本勢初のメダルを無事に獲得した 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
純粋にうれしいですね。でも、今回の銅メダルだけで満足するのではなく、来年の世界選手権や4年後には東京五輪がありますので、もっともっと上を目指してトレーニングをさらにやっていきたいです。
――思わぬ形で競歩が話題になったが?
まったくもって予想外の展開でしたので(笑)、良かったのかどうか分からないですけど、とりあえずメダルが確定して良かったと思います。
――メダルは?
メダルは、競技場(オリンピック・スタジアム)の方でメダルセレモニーがあるので。ここではギフト・セレモニーがあったはずですが、なくなったんですね。お騒がせしました。申し訳ないです。当たらなければ、それで済んだのですが、余裕がなくて。どっちも余裕がなくて、フラフラ、フラフラして当たってしまった状況だったと思います。