アテネ大会以来、３大会ぶりに五輪に挑むバスケットボール女子日本代表。アジア連覇中である日本は、ＷＮＢＡに進出した渡嘉敷来夢、アジアナンバーワン司令塔の吉田亜沙美を擁し、高さとスピードにおいては史上最強のチームになった。４月上旬から４カ月間かけ、スピードあるトランジションの展開に磨きをかけるべくチーム作りをしてきた。スローガンである「メダルへの挑戦」に対してキャプテンの吉田は「五輪に出るからには高い目標を持つのは当然のこと。どんな相手にも思い切り立ち向かっていく」と意欲を燃やし、アジア女王のプライドとチャレンジャー精神を持って挑む。

　あとは、いかにしてリオの舞台で戦うか――だが、今大会は「完成されたチーム」が多く出場しており、近年の中では一番難しい大会になることが予想される。特に日本のグループには成熟したチーム力で集大成を迎える国が多く、そんな中で平均年齢がいちばん若く（２４.７歳）、平均身長が唯一１８０センチに満たない１７７センチの日本が上位進出を果たすことは容易ではない。若さは年齢だけのことを言うのではない。近年のワールドクラスの大会で決勝トーナメントに進出したのは、２０年前のアトランタ五輪までさかのぼらなければならず、国際大会でのキャリア不足も否めない。果たして、そんな中で日本は何を強みにして戦うべきなのか。３つのポイントを挙げてみたい。

　予選ラウンドは６チームで争われる。上位４チームが決勝トーナメントに進出できるため、最低でも２勝が必要となる。日本はＦＩＢＡ（国際バスケットボール連盟）ランキング１６位。対戦するのは１０位のベラルーシとトルコ、７位のブラジル、２位のオーストラリア、４位のフランスと、すべてが超強豪の格上で、ベテランぞろいのキャリアが豊富なチームだ。その中でターゲットをあげるとすれば、初戦のベラルーシと２戦目のブラジルであろう。

　ベラルーシは６月の世界最終予選（ＯＱＴ）では予選ラウンドで韓国に惜敗し、出場決定戦となる準々決勝でも中国を勢いに乗せてしまい大敗した。しかし、最後の１枚の切符をかけた敗者復活の決定戦で立て直しを図り、韓国との再戦ではアウトサイドシュートを完璧に封じてリオの切符を手にした。今年に入って、中国と韓国がＯＱＴでベラルーシに勝っていることからも日本にもチャンスは十分にあるが、対策を立てて韓国を見事に封じた総合力と高さには要注意だ。

　ブラジルは個人技とパワーを擁するが、オーストラリアやフランスよりは粗さがあり、つけ入る隙はある。ただし、大会前の練習試合では手応えはあったものの２連敗を喫しているうえ、何といっても開催国だけに簡単には崩れないだろう。

　昨年のアジア選手権、日本はＷＮＢＡに参戦していた渡嘉敷が直前に合流したことで、大会を通してコンビネーションを高めていき、決勝の中国戦では３５点差（８５−５０）と爆発した。しかし、リオではその戦い方は通用しない。幸い、渡嘉敷は当初の予定より合流が５日ほど早まって２週間の調整期間を得た。３戦目以降は近年の世界大会で上位のトルコ、オーストラリア、フランスが待ち受けているだけに、初戦から勢いづく戦いを展開し、何としてもベラルーシ戦をもぎ取るスタートを切らなくてはならない。