空手界のヒロインが抱く“夢” 植草歩「五輪で金、メジャー競技へ」
2020年東京五輪での採用が決まった空手の現全日本女王・植草歩 【スポーツナビ】
この瞬間を心待ちにしていたのが、組手種目の植草歩(高栄警備)だ。広告塔として、五輪競技入りをアピールするポスターのモデルやメディアへの出演も積極的に行ってきた。空手界にとって悲願となる一報に、「ずっと夢に見ていた五輪が正式に決まって本当にうれしい」と植草の笑顔も満開となった。
日本にとどまらず、世界で愛されている空手。東京五輪での活躍が期待される植草に、五輪への思い、そして、空手の普及に向けた決意を語ってもらった。
“板割り”のイメージから変わった
ずっと夢に見ていた五輪が正式に決まって本当にうれしく思います。やはり、小さい頃から五輪をテレビで見てきて、「空手が入らないかな」と思っていたので、現実になってうれしいです。
――追加競技候補に空手が入ってからの1年を振り返っていかがですか?
空手、そして私自身も報道で取り上げてもらえるようになったのが大きな違いとして実感しています。
昨年1年は、いろいろなイベントも実施しました。五輪に入るために、空手をたくさんの人に知ってもらおうと思って、いろいろと動いていましたが、長くは感じませんでした。あっという間でした。
――外部環境の変化も大きい1年だったと思いますが、一番変わったと思うところはどこですか?
空手は“板割り”をイメージされる方が多いと思うのですが、私たちがやっている形や組手の伝統派空手も多くの人に知ってもらえるようになったと思います。実際、私が電車に乗っていると、「テレビに出ている子だ」「空手をやっている小さい選手だ」といった会話も聞こえてきます。そういう話を聞くと、環境の変化を感じますね。
――植草選手は空手の競技入りに向けて、ポスターのモデルになったりシンボル的に活動をしたり、マスコミから「空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ」と呼ばれたりしていますが、戸惑いはありましたか?
最初は「自分でいいのかな」という気持ちが強かったのですが、自分にしかできないことと思えたし、今、私がやるべきこととも思うようになりました。下の世代の人たちに、五輪競技として空手を入れてあげたいと思いました。自分たちが五輪を目指すのは、今になって始まったことですが、小さな頃から五輪選手になることを目指して空手をできる環境を作れたらいいなという意識に変わりましたね。
「空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ」と呼ばれることは、今は何とも思っていないです。逆に、「誰だよ?」「どんな奴だよ?」と思ってもらって、自分を見てもらって、そこから空手に興味をもってもらうきっかけになればいいと思います。