空手界のヒロインが抱く“夢” 植草歩「五輪で金、メジャー競技へ」

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社長秘書との二束のわらじ

母校の帝京大学で練習する植草 【スポーツナビ】

――空手を始めたのはいつごろ、どんなきっかけですか?

 小学校3年のとき、男の子の幼馴染に誘われて始めました。練習に行って、ミットを突いたり蹴ったりして、ミットの「パン、パーン」という音が気持ち良くてすぐにやりたいと思いました。当時は、先生に正座の姿勢がきれいだとか、ちょっとしたことで褒められるのがうれしかったですね。

――当時は、社会人になるまで続けていると思っていましたか?

 思っていなかったですね。大学と社会人の境目でやめようと思っていました。しかし、世界選手権・全日本選手権も優勝できなかったので、続けるならあと2年かなとも思っていました。しかし、本格的に五輪に入ることが動き始めたので、「あと2年やるんなら、4年やっても変わらない」と思って(続けました)。

 やはり五輪は大事なもので、さらに私たち(空手界)にとっては第1回目の五輪になるので、大事な舞台で自分が出て、優勝したいと思って続けることを決意しました。

――現在、所属先の高栄警備で社長秘書との二束のわらじで競技を続けていますが、実際、生活はどうですか?

 社長秘書としては、書類を整理したり、社長の出張手配やお茶出しなどをしています。しかし、競技に集中できるよう、短い勤務での就業を考慮してもらって、良い環境をいただいています。今までは、共同生活で暮らす寮でしたが、今は自分ですべてやらなきゃいけなくなって食事も気を付けないと、というのは変わりました。

――空手を通して学んだことで、仕事に生きていることはありますか?

 なるべく言われたことはすぐ終わらせることですね。会社にいる時間も少ないのですが、だからこそ頼まれた仕事はその日のうちに全部終わらせていこうということを意識しています。

空手をメジャースポーツに

――五輪で自分が空手をやっているイメージはありますか?

 世界選手権の舞台しか見たことがなく、まだ五輪自体が分からないのですが、五輪だからと気負いすぎずにいつも通りの自分でいければと思います。

 他の競技の選手をただただ「すごいな」とあこがれの目で見ていたので、自分もそういう選手になれるように、空手を知らない人でも「あの人、すごいな」と思われるような選手になって、それを五輪の舞台でもやっている自分を想像してます。

――気が早いですが、あと4年。どのように過ごしていきたいなと思いますか?

 恵まれた環境を与えられているので、それに感謝して、変わらずにきちんとトレーニングをしたいです。海外の変化に自分もついていって、どんどん新しい自分になれるように、トレーニングでも、私生活でも、空手でも、トップアスリートになれるように変わっていきたいと思います。

――最後に、東京五輪での目標、そして空手界として2020年の理想の姿を教えてください。

 個人としては五輪で優勝することが一番の目標です。そして、空手としては、今の野球とかサッカーみたいに、いろいろな人がメジャー(スポーツ)と分かってもらえるような競技になっていったらいいなと思います。

 また、2020年だけでなく、2024年でも空手競技が入っていられるように、東京五輪で勝つことで空手の魅力を伝えていけたらいいなと思います。

(取材・文:森隆史、三浦周太/スポーツナビ)

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