スカウト陣も今季のイチローを評価 強い当たりもシフトに阻まれあと6のまま

丹羽政善

監督も予想できなかった今季の活躍

イチローの活躍は予想以上と評価するマッティングリー監督 【Getty Images】

 その後もイチロー絡みの話をいろいろしたが、2日前にドン・マッティングリー監督が、「(今年の)活躍には少し驚いた。昨年の数字を見れば、今年3割3分打つなんて、誰も予想できなかった」と話したことには、同意した。

「42歳でこれだけの成績を残すとは」とア・リーグのスカウト。ナ・リーグのスカウトも言う。

「規格外だ。去年の成績だけを切り取れば、マーリンズはなんで再契約したんだ? となる。それでも再契約に踏み切ったのは、彼のチームに与える影響を評価したからだと思うが、42歳でこれだけの数字を残してくれたら、最高の契約の部類だ」

 となると、地団駄を踏んでいるのは、イチローの代理人か。この成績なら、少なくとも倍の額に跳ね上がってもおかしくない。

相手守備も今年の傾向を織り込み済み

 ちなみに今季の特徴は、「ライナー性の打球が多い」ことだそうだ。もうすぐ対戦があるナ・リーグのスカウトが指摘する。

「今年は、ラインドライブの強い打球、あるいは大きな打球が右方向に飛ぶ傾向がある。三遊間に転がす打球も警戒すべきだが、右方向への強い当たりも要注意だ」

 この日(現地時間20日のフィリーズ戦)の打球など、まさにそうだった。

 8回、先頭打者として代打の打席に立ったイチローは、フルカウントからのボールに角度をつけると、打球は右中間へ。抜けるか、という打球だったが、これはフィリーズも承知の上。あらかじめライトが右中間に寄っていた。スカウトらのリポートはこうして役立っている。

 結局、この日もヒットが出ず、3000安打まであと6本のまま。相手のシフトにヒットを阻まれた。

 ところで、ア・リーグのスカウトによれば、イチローと4部門すべてで満点を争ったのは、オリオールズのマニー・マチャド三塁手だそう。

「打つ方も非凡だが、守備、走塁、肩ともに特Aクラスだ」

 ナ・リーグのスカウトも同意した。

「少し気が短いけどな」

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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