世界最終予選から始まる強化の道 バスケ男子代表が10年ぶりの国際舞台へ

小永吉陽子

10年ぶりに世界の強豪と戦う舞台へ

7月4日より世界最終予選を戦う男子日本代表。五輪が懸かっているだけでなく、日本にとって非常に重要な意味を持つ大会だ 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 7月4日よりセルビア他2会場で開幕する「FIBA男子オリンピック世界最終予選」(Olympic Qualifying Tournament = OQT)に臨むバスケットボール男子日本代表。世界最終予選は、各大陸予選で出場権を得た15カ国とワイルドカードから3カ国、計18カ国が、残り3つの出場権を懸けて戦う大会であり、その名の通り五輪直前に開催される最終予選である。そしてこの大会は、五輪のチケットが懸かっているだけでなく、日本にとっては非常に重要な意味を持つ大会となる。

 その理由は、2006年の世界選手権(現ワールドカップ=W杯)以来、10年ぶりに世界の強豪と戦う舞台となるからだ。「経験をしに行くのではなく、本気で五輪を目指して勝ちに行く大会」と長谷川健志ヘッドコーチ(HC)が断言している通り、世界を相手に本気で勝ちにいくからこそ相手に立ち向かえ、日本の現状を知ることができる重要な大会なのだ。

 そして、今夏の世界最終予選とリオデジャネイロ五輪を最後に、来年の17年からはいよいよFIBA(国際バスケットボール連盟)の大会システムが大改革を迎える。来たる新時代の到来に向けては、来年から準備を始めればいいわけではない。そのスタートとなるのが、強い日本を作るための基盤となる9月の「Bリーグ開幕」であり、世界最終予選で強豪と対戦して競技力を上げることであり、ひいてはそれらが、20年東京五輪へのステップとなるのだ。

 世界最終予選というターニングポイントの大会を迎えるにあたり、あらためて17年からのFIBA男子大会のシステム変更点を確認し、五輪開催国枠と今後の強化ポイントを整理したい。

FIBAの最大の改革はW杯の予選と本大会の拡大

17年度からはFIBA国際大会の新競技システムが大きく変更され、日本代表への影響も大きい 【写真は共同】

 以下、17年度からのFIBA国際大会の新競技システムについて、変更する点を列記する。

<W杯の変更点>
●次回W杯開催は19年とし、以後4年に一度開催する
(19年は中国で開催)
●次回W杯から出場国が24カ国から32カ国に拡大。
(出場国の内訳:アフリカ5、アメリカ7、アジア+オセアニア7、ヨーロッパ12、開催国1)
●W杯予選は1年半かけてホーム&アウェイで6回にわたって行う。
(自国で国際大会を見る機会を作り、ファン拡大、スポンサー獲得を目指すため。予選は17年11月、18年2、6、9、11月、19年2月の6回開催)
●アジアとオセアニアは「アジア・パシフィック」として合同予選を行う。
(競争力の低いアジア・オセオニア地域において、競争力あるゲームを行うための措置。ただし、予選では合同地域になるが、五輪における5大陸の振り分けはアジアとオセアニアのままで変更なし)

<五輪出場枠の変更点>
●開催国枠が復活する。ただし開催国枠はFIBAセントラルボード(FIBA中央理事会)の承認によって決定される。
●五輪出場権はW杯を経由して獲得することになる。W杯で各大陸の最上位国(アメリカとヨーロッパのみ2位まで)が出場権を得る「Direct Qualifications = ダイレクト・クオリフィケーションズ」方式を導入。
(W杯による五輪出場権:アフリカ1、アメリカ2、アジア1、オセオニア1、ヨーロッパ2)
●世界最終予選からの五輪出場枠は4。五輪世界最終予選はW杯のダイレクト・クオリフィケーションズから外れた大会上位16カ国と各大陸から選ばれたチーム8カ国(アフリカ、アメリカ、アジア・オセアニア、ヨーロッパ各2カ国)、計24カ国で争う。(詳細は未定)

<廃止・新設大会>
●2年に一度、W杯と五輪予選を兼ねた大会として開催していた大陸選手権が廃止され、4年に一度、コンチネンタルカップ(総称)を開催する。
(アジアの場合は「アジア選手権」が廃止され「アジアカップ」となる)

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著者プロフィール

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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