錦織、“開き直り”で不安を払しょく 逆転勝ちで全英3回戦進出

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 テニスのウィンブルドン第4日は現地時間6月30日、男子シングルス2回戦などが行われ、第5シードの錦織圭(日清食品)が2010年のラファエル・ナダル(スペイン)戦以来、6年ぶりにウィンブルドンのセンターコートに登場、雨で順延になった2回戦を逆転勝利で突破した。

休養が落ち着きにつながる

雨で順延となった2回戦で逆転勝利を収めた錦織 【写真:アフロ】

「なんで俺がセンターコートなんだ、という感じでした」

 ジュリアン・ベネトー(フランス)は世界ランク547位の34歳。昨年、股関節の手術を受けて復帰した病み上がりだが、12年には4回戦でロジャー・フェデラー(スイス)と対戦し2セットアップ、あと2ポイントまで追い込んだことのある油断ならない相手だ。

 錦織は前哨戦で痛めた脇腹について、痛みそのものより試合数をこなせなかった不安を口にしていた。故障に関して選手が多くを語るはずもないのだが、第1セットの立ち上がりは確かにそんな不安の気配を漂わせていた。相手のサービスゲームで先にポイントを奪っても、ベネトーは大事な局面でサーブを決め、なかなかブレークポイントまで持ち込めない。しかも、少しずつリズムをつかみかけた第7ゲーム終了時に雨で中断。15分ほどの短い中断だったが、リズムで攻める錦織には嫌な間合いだっただろう。第10ゲームをサービスブレークされ、第1セットを失った。

 しかし、ここは雨を恨むのも筋違い。雨で試合がなかった前日は、練習を軽めに引き揚げ、会場近くに用意した宿舎で昼寝するなどゆっくり休養できたという。

 そんな開き直りが、むしろ落ち着きにつながっていた。第2セットに入るとリターンに集中し、強弱を付けながら打ち合いに持ち込んで、チャンスを広げた。3−3で迎えた第7ゲーム、相手のファーストサーブが鈍ったところに4本のストローク・ウイナーを集めてブレークに成功。流れはここで変わった。

 セットカウントで並んだ第3セットは第5、第7ゲームを連続ブレーク。第4セットも第1ゲームから攻め込んでリードを奪い、最後まで主導権を渡さなかった。

「体調は1回戦よりも良くなっています。100パーセントに戻ることはないと思いますが、昨日の雨は助かりましたね。逆に、次が連戦になるということはあるんですが、とりあえず、今日勝てたことを収穫としたいと思います」

 故障の状況は違うが、決勝まで勝ち進んだ14年の全米オープンも、故障上がりで一戦一戦を目標にしながら、いつの間にか最終日まで残っていた。そんな心境に近いのかもしれない。3回戦の相手は、今年の全仏オープン2回戦で対戦したばかりの、強打のアンドレイ・クズネツォフ(ロシア)。全仏のクレーコートでは巧く打ち合いをかわしたが、球脚の速い芝の舞台ではまた違う展開が待っているだろう。

土居、2度目の3回戦進出

 女子では土居美咲(ミキハウス)が第15シードのカロリナ・プリスコバ(チェコ)をストレートで破り、初出場だった5年前に次いで2度目の3回戦進出を決めた。奈良くるみ(安藤証券)は、ケガの影響が隠せずに敗退。また、女子ダブルスでは、穂積絵莉(エモテント)・加藤未唯(佐川印刷)ペア、青山修子(近藤乳業)・二宮真琴(橋本総業)ペアが2回戦に勝ち進んでいる。

 男子はアンディ・マリー(イギリス)、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、グリゴル・ディミトロフ(ブルガリア)、バーナード・トミック(オーストラリア)、ジョン・イスナー(米国)らが勝ち上がったものの、全仏でベスト4に進出した期待の若手、ドミニク・ティエム(オーストリア)は敗退。女子でも、全仏オープン優勝の第2シード、ガルビネ・ムグルサ(スペイン)が予選上がりのヤナ・チェペロバ(スロバキア)に敗れる波乱があり、第7シードのベリンダ・ベンチッチ(スイス)も途中棄権で姿を消した。

(文:武田薫)


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