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日本男子バレーに足りない海外経験
組織で取り組むべき支援体制の整備

「勝ち切れない」試合が続く

ワールドリーグのキューバ戦でもあと1点に泣いた日本の課題はどこにあるのか
ワールドリーグのキューバ戦でもあと1点に泣いた日本の課題はどこにあるのか【坂本清】

 リードしているにもかかわらず、あと1点が取り切れない。


 18日に大阪中央体育館で開催された男子バレーワールドリーグの第2戦となるキューバ戦。日本は2週間前に行われた五輪最終予選(OQT)の記憶が蘇るような、何とも後味の悪い逆転負けを喫した。


 第1セットは23−18と5点をリードしながら終盤に連続失点を喫し25−27で先取された。そこから2セットを連取した第4セットは、24−22とマッチポイントを取りながらの逆転負け。試合後、セッターの深津英臣は「負けてはいけない相手に負けたこと、勝ち切れない自分たちがふがいない」と肩を落とした。


 五輪出場という大きな夢が絶たれてから、わずか2週間という短い時間で再び気持ちと体を立て直して試合に臨まなければならないのは、確かに酷ではある。とはいえ、「勝ち切れない」という言葉が繰り返されるたび、山積みになるばかりで解決されない課題が色濃く浮かび上がる。


 五輪予選の最終日に、米山裕太は「根本的な課題が解決されていない」と言った。根本的な課題とは何か。そしてどうすれば、解決できるのか。

日本だけでは養えない技術がある

ワールドリーグでシニアデビューを果たした星野(右)は「思っていた以上に高さと圧力があった」と振り返った
ワールドリーグでシニアデビューを果たした星野(右)は「思っていた以上に高さと圧力があった」と振り返った【坂本清】

 高さとパワーに圧倒的な差があった。南部正司監督はそう言う。だがそれは戦う前から分かりきっていたことで、中国やオーストラリアといったアジア勢も2メートルを超える選手を多く擁しており、個々のレベルも高い。かつてならば「大型選手は攻撃ばかりで守備はできない」と見られることも少なくなかったが、スパイクやキルブロックといった派手なプレーばかりでなく、パスもトスも正確にこなすのが当たり前。なおかつ高いレベルの個がバラバラに動くのではなく、ディフェンスもオフェンスも組織として成り立ち、質の高いバレーが展開される。


 敗因は決して高さとパワーではない。


 だがネットを挟んで対峙(たいじ)する選手たちからすれば、目の前にそびえる、自分たちよりもはるかに高いブロックに対してどう攻撃すれば決まるのか。日本ではその技術を養うための場が限られている。


 南部監督も就任当初から海外経験の少なさゆえに生じる課題の大きさを提示し、克服するためには海外遠征を積極的に行うべきだ、と強く主張し実行してきた。その成果は顕著で、実際に昨年のワールドカップでは多くの選手が、大会前に海外勢と戦う感覚を養えたことが好成績につながったと口をそろえた。


 日本のV・プレミアリーグにも、MVPを獲得した豊田合成のイゴール・オムルチェンを筆頭に、サーブや高い攻撃力を持つ外国人選手は在籍する。米国遠征や直前の練習試合までは同行したが、五輪予選は最終メンバーから外れ、ワールドリーグがシニア代表でのデビュー戦となった星野秀知も「サーブだけならばキューバや米国の選手よりも、イゴールや(元堺ブレイザーズの)ペピチ(・ミラン)のほうがすごかった」と言うように、日本でプレーしながらも世界の技を体感することはできる。


 だが、各チームでプレーできる外国人選手は1人。サーブやスパイクに対するディフェンスを磨くことはできても、複数のブロックに対する攻撃は磨くことができない。実際に海外勢との試合時に初めてブロックと対峙した星野はこう言う。


「思っていた以上に高さと圧力がありました。より思い切り打たなきゃダメだと実感したし、この状態で自分がOQTに選ばれていたら、レシーブはできても、攻撃はどうだったんだろう、というのが正直な気持ちでした」

田中夕子
神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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