記録達成後、チームメートと機内で乾杯 イチロー、次のターゲットは3000安打

丹羽政善

「置く場所に困る」数々の記念品

マイケル・ヒル編成本部長(右)から記念のベースを受け取るイチロー 【Getty Images】

 マイアミに戻って迎えた17日のロッキーズ戦の前には、地元ファンの前でセレモニーが行われた。ホームーベース付近で編成本部長のマイケル・ヒルがベースを持って立っている。イチローは15日の9回、右翼線に二塁打を打ってローズを超えたが、そのときの二塁ベースだった。

 センターの大型スクリーンで打った時の様子が流れると、客席から歓声が沸く。イチローが登場しそのベースを受け取ると、その歓声が、いっそう高まった。

「置く場所に困ります。まとめて置いてある、この中(クラブハウス)に」

 イチローは試合後、そんな風に語ったが、昨年、日米通算で王貞治(福岡ソフトバンク会長)の得点記録を超えたときにはホームベースをプレゼントされ、今年に入って、大リーグ通算500盗塁、日米通算700盗塁を次々にマーク。その度にベースをプレゼントされたようだが、確かにどんどん増えて困っているのかもしれない。だとしたら、なんとも贅沢な悩みだ。

限られた打席数であと20安打

 さて、その試合でも代打で出場するとヒットを放ったイチローの大リーグ通算安打が、2980本となって史上30人目の大リーグ通算3000安打まであと20本となった。
「知ってますよ」とイチロー。

 そのヒットを打った時点では、その試合を含めた前の21試合で20安打を放っており、その勢いなら20本はあっという間ではないかと映るが、イチローは「代打だと、20打席はかかるわけだから、次の1本は絶対打つつもりで行っているわけですからね」と話し、続けた。

「そら、20回連続で打てないのは知ってますが。次の1本を打つことは当然でしょう」
 限られた打席数。すべて代打ならば、最低でも20試合を要する。となると、そう簡単な話ではない。実際、残り20本としてからその数が減っていない。18日は代打で四球。19日は出場機会がなかった。早く到達するとしたら、その限られた機会で着実にヒットを重ねるしかないが、そういう状況であと20本という数字は近いようで遠いのかもしれない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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