国枝慎吾、全仏で取り戻したい試合勘 手術からの完全復帰へ、経過は順調
4カ月ぶりに実戦復帰
5月の国別対抗戦で4カ月ぶりの復帰を果たした国枝慎吾 【写真:赤坂直人/スポーツナビ】
今年1月に行われた全豪オープンでは1回戦でゴードン・リード(イギリス)に敗れており、リオデジャネイロパラリンピックへ向けては、今大会で悪い流れを払拭(ふっしょく)しておきたいところ。
しかし、パラリンピック3連覇への道のりはそう簡単ではない。国枝は「リオで万全な状態で金メダルを取るため」と、4月9日に慢性的な違和感があった右ひじの手術を行った。5月23〜28日に日本で行われた世界国別選手権で4カ月ぶりに実践復帰。チームを準優勝に導く活躍を見せたものの、決勝では世界ランク1位のステファン・ウデ(フランス)に0−2(4−6、2−6)のストレート負けを喫した。ロンドンパラリンピックの決勝など、これまで何度もしのぎを削ってきたライバルに完敗し、まだまだ本調子には戻っていないことを感じさせた。
復帰初戦となったスウェーデン戦後も、まずは復帰できた喜びを語った国枝だったが、次に出た言葉は自身のプレーへの不満だった。
「アップダウンが激しかったです。調子が出てきたなと思ったところで、自分のエラーが出たり、普段の自分の試合とは(内容が)あまりにもかけ離れすぎていた。そこは実戦を積む中で改善していくしかないかなと思います」
4カ月ぶりのプレーで理想と現実の差を知った国枝にとって、全仏オープンは自分のテニスを取り戻すための大事な実戦の機会となっている。
国別対抗戦で見つかった課題
「ショットは悪くなかったです。どちらかというとフットワークが良くなかった。相手のサーブの速さに反応できなかったり、ちょっと左右に振られると反応できなかった。体のキレもそうだと思いますが、一番は勘みたいなところがしっくりこないなと思いました」
リハビリ期間中、国枝は健常者である丸山弘道コーチとトレーニングを行ってきた。健常者と車いすの選手が打つボールでは、ショットの軌道や“間”が違うという。実際に国別対抗戦では、国枝が落下地点の予測を見誤ったり、余裕のあるボールでも打ち返す前に慌ただしくなる場面が何度も見られた。
フットワークを武器とする国枝にとって、実戦から離れている間に生じたわずかなズレが、思いのほか大きな影響を与えていた。
「僕自身のテニスを支えているのはフットワークです。フットワークがよければ、よりよい打点でショットを打てる位置に入り込める。テニスをしていなかったとはいえ、その点はもう少しできると思っていた。それが試合になると難しいと感じました」