前々走の成績にも注目! オークスを分析 データが導き出した勝ち馬はコレだ!

JRA-VANデータラボ

脚質別成績

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 Target frontier JVによる脚質分類では、3着以内の好走馬30頭中23頭が「中団」と、圧倒的に差し馬の好走が多い。5番人気以内に推された馬でも、「逃げ」「先行」好走したのは昨年[6-5-5-4]の通過順で2着になったルージュバック(1番人気)1頭のみである。ただし、6番人気以下の好走馬は9頭中3頭(33.3%)が「逃げ」「先行」で、5番人気以内の21頭中1頭に比べれば、まだ先行型にもチャンスはある。

前走レース・着順別成績(好走馬輩出レース)

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 前走レース別では、好走馬30頭中18頭を桜花賞組が占める。しかし出走数が多いため、好走確率はさほど抜けた成績ではなく、むしろ勝率や連対率は忘れな草賞組のほうが高い。また、5番人気以内の複勝率なら桜花賞とフローラSはほぼ互角だ。

 その他のレースからは好走馬が出ておらず、フラワーCからの直行は過去10年【0.0.0.3】で、13年には同レース優勝馬のサクラプレジールが6番人気で14着に敗退。そして前走500万・未勝利戦組は【0.0.0.13】。11年の3番人気・グルヴェイグはエルフィンS3着→500万1着で出走し、14着に敗退。また、06年には忘れな草賞2着のブルーメンブラットが、500万1着を挟んで出走して9着と、オープン好走実績馬でも苦戦を強いられている。

 前走着順については表6〜7でも触れるが、前走1着馬が優勝馬11頭中7頭。そして前走2着馬からは勝ち馬こそ出ていないものの、2〜3着が多く、複勝率では前走1着馬を上回る。前走6着以下からの好走馬5頭は、桜花賞4頭、皐月賞1頭と、すべてG1だ。

前走桜花賞からの好走馬

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 桜花賞組の好走馬は表6の18頭。過去10年を通しての好走条件は、前走、前々走のいずれかでは3着以内に入っていること(07年ローブデコルテ以外の17頭)。そして桜花賞では4着以内か、1〜2番人気に推されていたことである(13年メイショウマンボ以外の17頭)。

 ただ、08年以前と09年以降では傾向に違いが見られ、08年までの6頭はすべて4番人気以下で、桜花賞下位人気馬や馬券圏外の馬も多かった。しかし09年以降は12頭中9頭が3番人気以内で、同11頭が桜花賞5番人気以内、そして同10頭が3着以内。09年以降のデータを重視すれば、桜花賞上位人気の好走馬、かつ今回も人気になっている馬が狙い。桜花賞で馬券圏外の馬なら、2走前では重賞を勝っていることが条件になる。

前走桜花賞以外からの好走馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に、桜花賞以外からの好走馬も見ておきたい。14年に牡馬相手の皐月賞へ出走したバウンスシャッセを除外して考えると、その他の11頭中10頭は前走5番人気以内(8頭は1〜2番人気)、そしてやはり10頭は前走連対馬が占めている。少し緩く見ても、バウンスシャッセ以外はすべて2戦連続3着以内馬が占めているため、別路線組なら最低限クリアしておきたいところだ。

結論

 前走桜花賞組が好走馬の半数を超えるオークス。その桜花賞組は08年以前と09年以降で傾向がやや異なり、近年は桜花賞を5番人気以内で好走した馬が中心だ。別路線組なら、前走連対が理想。また、2戦連続4着以下の好走馬は1頭だけで、特に別路線組なら2戦連続3着以内が最低条件になる。脚質は差し優勢、枠番別では5枠に注目したい。

 今年の登録馬で筆頭に挙げられるのは、桜花賞で大接戦の末に2着に惜敗したシンハライトだ。その桜花賞は2番人気、そして今回は1番人気が予想され、表6のデータは問題なくクリア。また、好走馬の中心となる差し脚質である点も好材料だ(表4)。あえて不安材料を挙げれば、前走2着馬からは過去10年優勝馬が出ていないことだろうか(表5)。しかし、桜花賞馬不在で行われた11年前のオークス(06年)は、シンハライトと同じく4戦3勝、そして桜花賞2着のシーザリオが1番人気で優勝している。この2頭にはほかに、生産者や馬主、配合(Sadler's Wells系牝馬×サンデーサイレンス系)と共通点は数多い。また、今年は他馬に減点材料を抱える馬が多いため、これを不安視する必要はなさそうだ。

 シンハライトに続く候補はトライアルを制した2頭、ジェラシーチェッキーノ。ジェラシーはスイートピーSを1番人気で制し、前々走も2着で表7の好走条件をクリア。チェッキーノはアネモネS、フローラSと連勝してきた。ジェラシーはスイートピーS組の好走馬が少ない点(表5)、チェッキーノは前走が3番人気であること(表7)が減点だが、数頭の好走馬は出ていることに加え、今年のメンバーではマイナス材料が少ない2頭である。

 その他、比較的減点が少ないのはアットザシーサイドやロッテンマイヤー、エンジェルフェイスあたり。枠番(表3)や人気(表2)なども考慮して取捨を考えたいが、いずれも前走好走馬で、今回も一定の支持を集めそうな馬ばかりになってしまった。そこで穴候補を1頭挙げればレッドアヴァンセ。2戦連続での4着以下敗退が大きな減点材料にはなるが(表6など)、過去10年、そのパターンで唯一好走したローブデコルテ(チューリップ賞5着、桜花賞4着)は、今年と同じく桜花賞馬不在の07年の優勝馬だ。そのローブデコルテは3走前にオープン特別・紅梅Sを制覇。今年、3走前のオープン勝ちから2連敗中の馬は、このレッドアヴァンセのみである。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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