”苦難の物語”を終わらせた酒井高徳
来季はさらに結果にこだわるシーズンに

ホーム最終戦は黒星も好プレーを披露

ホーム最終戦は黒星に終わるも、酒井は攻撃・守備の両面で好プレーを披露
ホーム最終戦は黒星に終わるも、酒井は攻撃・守備の両面で好プレーを披露【Getty Images】

 5月7日(以下、現地時間)のブンデスリーガ第33節ヴォルフスブルク戦は、ハンブルガーSV(HSV)にとって今季のホーム最終戦だった。タイムアップの笛が鳴ると、0−1で負けたことと試合内容が芳しくなかったことに対するブーイングが起こったが、それはやがて今季の健闘に対する労いと、イビツァ・オリッチとの別れを惜しむ拍手へと変わっていった。

 

 サポーターへのあいさつを終えた酒井高徳が更衣室へ引き上げてきた。左頬の赤い傷が生々しい。この日の酒井は右サイドバック(SB)としてフル出場を果たした。前半のHSVは左サイドにスペースを作っていた。左足でサイドを変える酒井のパスが効果的だった。攻撃面では26分、ボールの奪い合いに勝ってから クリスティアン・トレーシュの股を抜くドリブルをし、クロスを入れる好プレーがあった。守備面では対面のアンドレ・シュールレにほとんど仕事をさせなかった。


 後半、HSVはウォルフスブルクに攻めこまれた。後半10分にダニエル・カリジウリが入ってくると、酒井が劣勢に追い込まれ、連携面でも不安定な部分があった。終盤、酒井は果敢に攻め上がったが、チームとして攻撃に迫力がなく、零封された。「ホーム最後(の試合)だし、勝てなかったのが悔しい」(酒井)

14試合連続の先発出場を果たす

酒井(右)は今季1試合を残した段階で14試合連続の先発出場を果たしている
酒井(右)は今季1試合を残した段階で14試合連続の先発出場を果たしている【Getty Images】

 この1年半を思い返すと、シーズン後半戦の酒井は賞賛に値するのではないだろうか。まだシュツットガルト所属だった昨年3月、レバークーゼンとのアウェーマッチ(0−4)で自ら「今日は試合を壊してしまった」と振り返ったほど、酒井のパフォーマンスが乱れてしまった。以降、シュツットガルトで酒井の出番はなかった。

 

 今季HSVに移籍し、心機一転やり直しを図ったものの、8月9日のドイツ杯1回戦、対カールツアイス・イエナ戦(2−3)でもプレーが振るわず、開幕から秋ごろまで酒井はポジションを奪えなかった。


 その後、酒井は11月、12月とレギュラーに。ドイツメディアは「ウインターブレーク明けの『酒井対デニス・ディークマイアー』のポジション争いが熾烈(しれつ)になる」と掻き立てた。ここが酒井にとって正念場だったが、年明け最初のバイエルン・ミュンヘン戦(1−2)で先発したのはディークマイアーだった。つまり、1年半のうち3度も酒井は出場機会を失ったのだ。

 

 しかし、“3度目の控え”は2試合と短かった。2月7日のケルン戦(1−1)で先発の座を勝ち取った酒井は ブルーノ・ラッバディア監督の信頼を完全につかみ、今度こそは自分のポジションを明け渡さなかった。今季1試合を残したところで、酒井は14試合連続先発出場中だ。

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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