波乱多い天皇賞・春、その要因を分析 データが導き出した激走穴馬はコレだ!

JRA-VANデータラボ

天皇賞・春の枠番別成績(過去10年)

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表3は枠順別成績。最内の1枠に入った馬が昨年のゴールドシップら最多の4勝をあげている。2番人気だったゴールドシップ以外は12番人気マイネルキッツ・7番人気ヒルノダムール・14番人気ビートブラックが勝利。人気薄でも一発に要注意だ。これら内目の1〜4枠の馬が8勝をあげている。

 対して、外目の6〜8枠は2・3着が多く、特に6枠に入った馬は複勝率30%と1枠に次いで高かった。勝ち馬は内目の枠(特に1枠)が多く、2・3着は外の6〜8枠が多いというイメージでとらえておきたい。

天皇賞・春の前走レース別成績(過去10年)

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表4は前走レース別成績。出走数が多いのが前哨戦の阪神大賞典組と日経賞組。阪神大賞典組は昨年のゴールドシップら最多の4勝をあげるも、連対率・複勝率は低い。この組の3着以内馬7頭中5頭は以前にG1で3着以内に好走した経験があり、そのうち4頭は菊花賞で好走したものだった。日経賞組は一昨年のフェノーメノら3勝をあげ、連対率15.4%・複勝率21.2%と阪神大賞典組を上回っている。この組は前走日経賞で連対した馬が好成績。前走1着馬が【1.4.0.3】で連対率62.5%、前走2着馬は【1.0.3.5】で複勝率44.4%とともに高い。

 大阪杯組は11年ヒルノダムールら2勝をあげている。連対率25.0%・複勝率35.0%と上記2レースを大きく上回っているが、近2年は1番人気に推されたキズナが4着以下に敗れている。この組の前走着順別成績は前走1着馬【2.0.1.2】で複勝率60%、前走3着馬【0.2.1.0】で複勝率100%。対して、前走2着だった馬は06年マッキーマックス、昨年のキズナがともに7着に敗れている。

 その他の組では少数ながら、京都記念組から10年ジャガーメイルが勝利。13年トーセンラーも2着に好走している。また、ダイヤモンドS組は昨年7番人気フェイムゲームが2着に激走。近3年の出走馬4頭はいずれも人気と同じかそれを上回る着順に入っている。上位5レースで3着以内馬30頭中28頭を占めており、複勝回収率がすべて100%以上とどのレースからでも狙えるレースといえそうだ。

天皇賞・春の前走着順別成績(過去10年)

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は前走着順別成績。出走数が最も多い前走1着馬が昨年のゴールドシップら過半数の6勝をあげ、連対率27.9%・複勝率32.6%と高い。3着以内馬14頭はいずれも前走で表4の上位5レースを使われており、このうち12頭は天皇賞で5番人気以内と人気サイドの馬だった。前走2着馬は複勝率22.2%と前走1着馬に次いで高く、単勝回収率・複勝回収率ともに高い。こちらは3着以内馬6頭中4頭が6番人気以下の伏兵だった。

 なお、前走10着以下から巻き返した馬が3頭で複勝率18.8%。12年1着のビートブラック(前走阪神大賞典10着)ら好走した3頭はいずれも過去に京都芝2400m戦で先行して勝利、または重賞で2着と好走した経験があった。

天皇賞・春の種牡馬別成績(過去10年)

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は種牡馬別成績。ステイゴールド産駒が13・14年連覇のフェノーメノ、昨年のゴールドシップと3連勝している。ナスルーラ系のジャングルポケット産駒、ノーザンダンサー系のオペラハウス・チーフベアハート・フレンチデピュティ産駒からも勝ち馬が出ているが、近5年はサンデーサイレンス後継種牡馬の産駒から12頭が3着以内に入っている。

 その中には勝ち星こそないものの、昨年2着フェイムゲーム・3着カレンミロティックを含めたハーツクライ産駒が4頭好走している。他はステイゴールド産駒3頭、ディープインパクト・マーベラスサンデー・ミスキャスト・マンハッタンカフェ・ヤマニンセラフィム産駒が1頭ずつ好走している。ミスキャストやヤマニンセラフィムといった産駒数が少ないサンデーサイレンス後継種牡馬からも好走馬が出ている点は注目だ。

 ディープインパクト産駒で3着以内に入ったのは13年2着トーセンラーのみで、表には記載していないがキングカメハメハ産駒も【0.0.0.7】と苦戦傾向にある。

天皇賞・春の騎手所属別成績(過去10年)

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は騎手所属別成績。昨年の上位1〜3着馬の騎手がすべて美浦所属の騎手だったように、勝率・連対率・複勝率いずれも関東の騎手が関西を大きく上回っている。なかでも目立つのが蛯名正義騎手で、フェノーメノ連覇や昨年もカレンミロティックに騎乗して3着と好走している。蛯名騎手は京都外回りでの戦略性が非常に高く、昨年のエリザベス女王杯でもマリアライトに騎乗して勝利に導いたのは記憶に新しい。

 また、外国人騎手(M.デムーロ・ルメール両騎手除く)も10年にウィリアムズ騎手騎乗のジャガーメイルが勝利。出走数こそ少ないが、複勝率・複勝回収率ともに非常に高い

今年の天皇賞・春の出走予定馬(4/27現在)

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

<結論>
 今年の出走予定馬は表8のとおり。

 人気に推されそうなのが昨年の有馬記念馬ゴールドアクター。前走の日経賞も制して5連勝と勢いに乗っているが、過信はできないと見る。1番人気不振の傾向に加えて、父スクリーンヒーローは2番人気だった09年14着と大敗。サンデー系以外のヘイルトゥリーズン系は苦戦しており、思わぬ凡走があっても不思議ではない。

 データから推奨したいのが表6で示したハーツクライ産駒の中からシュヴァルグランフェイムゲーム。シュヴァルグランは前走の阪神大賞典を快勝。表5で示した好成績の前走1着馬。本格化しており、勝ち切る可能性も十分あるだろう。フェイムゲームは昨年の2着馬で、前走のダイヤモンドSは2着。前走2着馬は人気薄でも複勝率が高く、さらに外国人のボウマン騎手が騎乗予定なのも強調材料だ。

 穴で注目したいのがタンタアレグリアトゥインクル。タンタアレグリアは昨年の菊花賞4着も、直線で外を通った分でそれでも僅差だった。この距離ではキタサンブラックと力差はないだろう。前走の阪神大賞典は2着で、本馬をよく知る蛯名騎手が引き続き騎乗するのは大きい。トゥインクルは前走ダイヤモンドSを圧勝。ステイゴールド産駒で、前走勝ちがフロック視されるようなら狙って妙味がありそうだ。

 人気になりそうなキタサンブラックは前走大阪杯2着が減点材料、サウンズオブアースは昨年9着に敗れており、今回は乗り替わり。ともに押さえに回したい。

文:ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。

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