波乱多い天皇賞・春、その要因を分析 データが導き出した激走穴馬はコレだ!

JRA-VANデータラボ
 中央競馬6週連続GIの幕開けとなる今週は京都競馬場で春の天皇賞が行われる。メジロマックイーンに代表されるステイヤーが強さを発揮していたのは一昔前で、近年では人気薄の伏兵が多く激走する波乱傾向が強い一戦として定着。実際に近7年は3連単で続けて10万円以上の配当が出ている。今回のデータde出〜たでは春の天皇賞をピックアップし、過去10年のデータから波乱のメカニズムおよび激走する穴馬の特徴を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

天皇賞・春の人気別成績(過去10年)

表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 まず表1は人気別成績。一際目を引くのが1番人気馬と2番人気馬の対照的な成績の差だ。1番人気馬の勝利は06年ディープインパクトのみで、複勝率20%と不振傾向。09年以降の近7年はいずれも4着以下に敗れている。一方、2番人気馬は昨年のゴールドシップら最多の4勝をあげ、連対率60%・複勝率70%と高い。以下、3・4・7番人気馬が各1勝、10番人気以下が09年マイネルキッツ(12番人気)・12年ビートブラック(14番人気)と2勝をあげている。また、3着馬も下位人気馬まで幅広く分布しており、一昨年は12番人気ホッコーブレーヴ、昨年は10番人気カレンミロティックが激走している。

配当面では1番人気馬が3着以内に入った06年・08年のみ堅い決着で、近7年連続で3連複万馬券、3連単10万円以上の波乱となっている。特にビートブラックが先行策から押し切った12年は馬連6万1570円、3連単145万2520円の大波乱となった。

天皇賞・春の1番人気馬の成績一覧(過去10年)

表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 次に過去10年の1番人気馬の成績を見ていただこう。敗れた1番人気馬には大きく2つのタイプがあり、キズナのように中距離での実績を買われたタイプとフォゲッタブルのように長距離適性を見込まれたタイプに分かれている。ただし、その両タイプがともに敗れており、いかに京都芝3200mが特殊な条件かということを示している。力量的に断然と思われたオルフェーヴルでさえ、11着に大敗していることからもお分かりいただけるだろう。

 現在では芝中距離のレースが主体となり、3000m以上の長距離戦は数えるほどしかない。一流のステイヤーが繁殖・育成されにくく、個々の適性で強いコースや距離が細分化しているのが大きな要因だろう。ちなみに昨年はゴールドシップが3度目の挑戦で優勝を果たしたが、散水によって当日の馬場が緩かったのではないかというのが話題となった。高速馬場にならなかったことで、瞬発力勝負では分が悪いゴールドシップに味方したのは間違いない。過去の実績や見込まれた長距離適性ではなく、その時の条件に恵まれた馬が好走するレースといえそうだ。

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