ヤンキース、豪華救援トリオの真価は? 田中ら先発陣との相乗効果にも期待

岡田コウタロウ

昨季以上の上積みは可能なのか

田中将大ら先発陣が1年を通して活躍できるかがヤンキースの成績を左右しそうだ 【Getty Images】

 160キロを超える速球を投げる剛腕の獲得は戦力補強で大きなインパクトを与えた。だが、それが単純に勝ち星の上積みにつながるかというと、そうとは言い切れない。昨季はリードして6回を迎えた試合で66勝3敗、7回以降だと73勝2敗、8回以降だと81勝0敗。驚異的な数字からも分かるように、リリーフ陣が大健闘したシーズンだった。

 セットアッパーとしてチーム最多タイの74試合に登板し、5勝0敗、防御率3.10と奮闘した左腕ジャスティン・ウィルソンがタイガースに移籍し、チャプマンが加わった。実力的に見て戦力アップにつながるが、数字上どれほどの上積みが期待できるかは不透明。むしろ、昨季のスペシャルな活躍を再現できれば十分だろう。

 また、先発を兼任できて中盤のリリーバーとして貴重な働きを見せた右腕アダム・ウォーレン(オフにカブスへ移籍)の穴を埋めることも課題の一つ。豪華3人リレーに注目が集まる中、そこにつなぐまでに不安材料が多く、リリーフ全体では盤石と言い難い。チャプマン不在の約1カ月間をどのようにしのぐかも課題だ。『Fangraphs』の予想を見ても、今季のヤンキースのリリーフ陣総合のWAR(選手の勝利への貢献度を評価する指数)は5.4で、昨季の5.3から微増にとどまっている。

浮沈の鍵を握る先発陣の働き

 そう考えると、ヤンキース浮沈の鍵を握るのは不安を指摘される先発陣ということになる。現役時代に194勝を挙げた現野球解説者でOBのデービッド・コーン氏は「年間200イニングを投げる投手がいることはとても重要。投手陣全体の負担を軽減してくれる」と分析する。

 強力なブルペンを武器に昨季2年連続でワールドシリーズに進んだロイヤルズには昨年のエディンソン・ボルケス、一昨年のジェームズ・シールズといった200イニングをクリアした投手がいた。昨季のヤンキースには170イニングに到達した投手はいなかった。かつて毎年のように200イニングを投げていたC・C・サバシアは衰えが目立ち、開幕ローテーション入りも微妙。いずれの先発投手も年間通した活躍に疑問符が付く中、実力的にエースの役割を期待できるのは昨季開幕投手を任された田中将大投手となる。

 本人も「シーズン通して投げることが大事」と自覚している。ロスチャイルド投手コーチは「後ろに強力な3人が控えていることは先発投手に精神的に良い影響を与えるだろう。6回までリードを守れば勝つチャンスが増える」と、強力トリオとの相乗効果を期待する。

 インパクトの強い大型補強をしても、シーズンの成功につながらなかった例は枚挙にいとまがない。春先の興奮がピークだったということはよくある話だが、果たして――。

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