3度目レジェンド王座へ――長井満也の“覚悟”「関本戦は格闘技キャリア25年の集大成に」
3度目のレジェンド王座戴冠へ関本に挑戦する長井満也の覚悟とは 【(C)リアルジャパン】
いつか引退試合は関本君とやれたらいいなと考えていた
引退試合の相手としても考えていた関本に挑戦表明 【(C)リアルジャパン】
(関本とは)過去にもシングル、タッグ両方で闘ってますが、彼がチャンピオンで自分がチャレンジャーという立場になってからは初めて。大会のメインで当たるというのもあって、ワクワクしながらも少し緊張していますね。
――昨年12月9日のタイトルマッチ、船木誠勝vs.関本大介をどう感じましたか?
いちファンとして見ると、ボクが思っていた想像を超えたすごくいい試合というか、船木さんの持ち味がすごくよく出てたなかなと思うし、関本君がここ数年でレスラーとしての力をすごい伸ばしてきたなと感じた試合でしたね。
――フィニッシュのジャーマンスープレックスをどうご覧になりましたか?
やっぱりあれは説得力ありますよね。ボクのなかでですけど、ジャーマンスープレックスってつなぎ技じゃなくてピンフォールが取れる(大技)。むかしはジャーマンって一年に何回かしか見られなかったですから。
――完全なる必殺技でしたよね。
ボクが小学生とか中学生のころのプロレスではホントに年に数回出るかどうかの大技だったので、それをつなぎ技じゃなくて彼がそれで3カウントを取って会場のみんなが納得する必殺技に戻してくれたという感じがします。
――その試合後に長井選手がリングに上がり挑戦へ名乗りを上げました。その理由は?
自分は今年デビューして25年、年齢も47歳になってやっぱりそれくらいになると、いますぐにではないにしろ、引退っていうんですかね、自分がリタイアする時期とかタイミングを考えるようになってきたんです。それで自分の引退試合、自分の最後の試合ってどうなるんだろう、誰とやるんだろうみたいなことを漠然と考えたとき、自分のなかで関本君みたいなああいう(選手とやってみたい)。レスラーとしても尊敬してるし、ひとりの人間としてもリスペクトできる。いつになるかわからないけど、選手としてリタイアする引退試合は関本君とやれたらいいなということをちょっと漠然と考えてて。それを考えたときに、自分がホントに体力的にも落ちてきたときにやるよりはまだコンディションを維持できるときに関本君と自分の節目になるような試合ができたらいいなと思ったんですね。そんなときに、関本君が船木さんとの試合でチャンピオンになったので、これはオレがいまいくチャンス、タイミングなんじゃないかなと思って行動に出たんですよ。
――引退試合ではなく、それよりも前にいまの段階でやっておきたいと。
引退試合の前に引退試合のカードをやるみたいな感じですね。自分はデビューから15年、20年とかいう節目的なものをやったことがなくて、それを自分が引退試合のときにやりたいなと思ってた彼と、それもリアルジャパンのタイトルマッチでできるって、もしかして最高のステージなんじゃないかと思って、自分でアピールしたんです。
――関本選手とは長井選手がレジェンド王者時代に2回ベルトをかけて闘っています。両方とも両者リングアウトでスッキリした決着がついていませんが、当時と現在の関本選手で強さに違いは感じられますか?
上から目線なようで変ですけど、ボクも当時から彼のことをすごい認めてて、もし彼があと10センチ身長が高かったら世界チャンピオンになってると思うし、来るべくして上がってきた選手だと思う。当時もやっぱり、試合の攻めの迫力もあるし、受けの迫力もありました。いい選手だと思ってて。そこからキャリアを重ねて成熟してきて、これからが関本選手の全盛期じゃないけどレスラーとしてもっと上に上がっていく時期なのかなって感じていますね。
佐山さんの期待はうれしいけどプレッシャー
格闘技の師匠でもある初代タイガーの長井への期待は大きい 【(C)リアルジャパン】
佐山(初代タイガーマスク)さんが欠場しているのはやっぱりリアルジャパンプロレスの大ピンチだと思うんですけど、佐山さんがいなくなるのはいつの日か来てしまうわけで、その日を迎えるためのいい時間なのかなって感じはありますね。団体のベルトってその団体の顔だと思うし、たとえば佐山さんが復帰して佐山さん絡みの注目カードが出たとしてもやっぱりメインはそこの団体のベルトのタイトルマッチがメインイベントになるみたいな、そうもっていけるようないい流れなんじゃないかなと思いますね。
――船木選手が巻いて関本選手が巻いて、こんど長井選手が挑戦する流れは明らかに過去のレジェンド王座の価値とは違うと思うんです。注目度がグンと上がってると思います。
これで注目度が落ちないように頑張るだけですね(笑)。
――関本選手のどんなところを警戒しますか?
警戒というか、ああいうごっついタイプの選手って攻めるときはすごいんだけど、自分が相手の技を受けたり守りになるとけっこうハートが弱い人だったりというのは多いんです。でも彼は受けるときも怖がらないで受けるし、攻めるときは迫力があるんで、(警戒すべきは)それですね」
――カードが決まってからは初代タイガーマスク選手が会見でも言ったように、長井選手に期待していると。すごく期待しているという話を聞いて、ご本人はどう感じますか?
うれしいですけど、プレッシャーがきますよね。まあでもボクがリングスを辞めてK−1や他の団体に出させてもらった後に、本来のプロレスを一番最初に手ほどきをしてくれたのが佐山さんなので、そういう意味では佐山さんの団体の後楽園ホールのメインイベントで良い内容と結果を出して、佐山さんに恩返ししたい気持ちもありますね。
――長井選手に上がってもらわないと困るというようなコメントもあります。
なにぶんボクも47歳なんで。でも船木選手もそうなんですよね。
――船木選手もリアルジャパンに来てからベルトを巻きましたから、負けてられないですよね。
そうなんですよね。
――ただ長井選手はしばらくリアルジャパンのリングから消えていたようなんですけど、どこでなにをしていたんですか?
そうなんですよ。ボクがなんでリアルジャパンのリングから消えていたのかは、平井(代表)さんのほうへ……。
――代表に聞かないといけない?
ハイ(苦笑)。
――ただ、船木vs.関本のタイトルマッチは直接見ていたんですよね。
見てましたよ、ハイ。久しぶりに会場に来て(笑)。
――久しぶりのリアルジャパンはどう見えましたか?
特にメイン(船木vs.関本)はすごくいい雰囲気で熱がありましたね。
――個人的印象ですけど、リアルジャパンのベストマッチだと思いました。
すごく悪い言い方ですけど、ここ数年の船木さんのベストマッチでもあると思います。初めからいい試合にはなるなと思ってましたが、船木さんはやっぱり船木誠勝というスタイルもあるしブランドもある。やっぱり会場に来てた人って船木さんと関本君の試合ってこうなるだろうなっていう、ボクらもそうですけど、その人たちの試合を想像するじゃないですか。その想像をたぶん超えるものを見せたから、あの日の会場は熱くなったと思うんですよね。船木さんもよかったけど、それを超えさせたのは関本君のレスラーとしての成長と成熟度がそうさせたと思うんですよね。
――次の長井選手との試合も想像を上回ることが期待されると思うんですが。
そうですね。ボクのプロレスラーとしてのひとつの節目として残したい試合でもあるので、そこは自分がいままで学んできたものもそうだし、佐山さんに旭川の道場で教えてもらったものをボクなりに守ってずっとやってきたつもりなので、それをリングで出せればと思いますね。
――佐山さんは長井選手の蹴りにすごい期待しているようです。
こないだの記者会見でもそうですけど、長井ちゃんの蹴りは遅いんだよって怒られているので、それはいま気にしてます(苦笑)。
――威力があるからこそ、そう言っているんでしょうね。もっとスピードを上げればすごいことになると。そういうアドバイスがあったうえで大会を迎えるわけです。
このアドバイスがきちんと反映できなかったらちょっと怖いですね(笑)。でもそれだけ自分のことを気にかけてくれてるんだなっていう気持ちがありがたいですね。