10を背に盟友のリベンジを誓う高木善朗 東京Vの背番号にまつわるストーリー

海江田哲朗
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レジェンド・ラモスが背負った10番

かつてはクラブのレジェンドであるラモス瑠偉がつけた背番号10。今季は高木善朗が背負う 【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ】

 2016シーズン、、東京ヴェルディの10番は高木善朗が背負うことになった。高木は、ともにプロサッカー選手として活躍する高木三兄弟の次男である(長男の俊幸が浦和レッズ、三男の大輔が東京V)。

 クラブを代表するエースナンバーであり、レジェンドであるラモス瑠偉がかつてつけた番号であり、他とは格段に重みが違う。いまだに「ヴェルディの10番」といえば、肩をいからせてドリブルするラモスの姿を想起する人が多いに違いない。言い換えれば、1990年代のラモスの輝きを超えるプレーヤーが現れていないということだ。それはJ1リーグ初代王者である東京Vのちょう落とも無関係ではない。

 92年生まれの高木の頭に浮かぶ10番もまたラモスだった。 

「10番と言えば、やはりラモスさん。実際に(東京Vで)活躍する姿を見た記憶はなくても、頭に定着している。自分のイメージする10番は自ら点を取り、周りにも点を取らせる選手。大事な背番号を任された責任を感じます」 

 冨樫剛一監督から背番号の話があったのは、若手組が練習をスタートさせた1月12日だった。朝、クラブハウスのコーチ室の前を通りかかった高木は、唐突に呼び止められる。 
「ヨシアキ、10でいいか?」

 冨樫監督は軽い口調で言った。突然のことに高木は戸惑い、答えに窮した。「なんだ、やれないってことか?」と、からかうように言われ、高木はそんなことはないと首を横に振る。話はそれで決まりだった。

盟友・小林祐希も背負った東京Vの10番

 近年、高木と同じか、それ以上に大きな期待を懸けられて東京Vの10番を背負った選手がいる。小林祐希(現ジュビロ磐田)だ。12年、小林はクラブを象徴する選手になってほしいと、当時19歳の若さで10番とキャプテンを託された。高木とは東京Vユース時代の同期であり、互いの力を認め合う盟友である。その前年、高木はオランダのFCユトレヒトに移籍し、新たなチャレンジに身を投じていた。 
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著者プロフィール

1972年、福岡県生まれ。獨協大学卒業後、フリーライターとして活動。東京ヴェルディを中心に、日本サッカーの現在を追う。主な寄稿先に『フットボール批評』、『Number Web』、『サッカーダイジェスト』など。著書に、東京Vの育成組織にフォーカスしたノンフィクション『異端者たちのセンターサークル』(白夜書房)がある。2016年初春に始動した『スタンド・バイ・グリーン ライター海江田哲朗のWEBマガジン』で、東京Vのマッチレポートやコラムを届けている。

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