“伸びしろのある世界王者”田口良一 リスクある勝負で存在感高める1年に
風邪の影響で本調子とは程遠かった
風邪の影響でコンディションが万全ではなかったが、それも経験とさらなる成長を誓う 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】
決して本調子とは言えなかったものの、悪い流れにずるずるはまり込まず、試合の中で展開を変えられたのはキャリアを重ねてきた証拠。今後、長く防衛を続けていく上でも、常に万全の状態で臨めるとは限らない。渡辺会長、石原トレーナーが口をそろえる「まだ伸びしろのある世界王者」は「本当にいい経験になった。次は、もっとコンディションをうまく持っていけるように。もっと精進します」とさらなる成長を誓った。
ライトフライに3人の世界王者
日本人世界王者が3人居並ぶライト・フライ級の中で、今年は存在感を高める戦いに臨む 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】
田口が昨年大みそかに王者になったときから、標的として常に気にしてきたのがWBA暫定王者のランディ・ペタルコリン(フィリピン)。“カミソリ”の異名を取り、評価も高い24歳の若き強打のサウスポーは危険な相手だが、リスクを懸けた勝負を乗り越えてこそ、自身をもうワンランク上に引き上げると信じている。いかにも大人しげな風貌、天然ぶりばかりが強調される語り口とはギャップのある強気なファイト、真っ直ぐな姿勢が田口の魅力。ペタルコリンとの対戦には渡辺会長も前向きで、前王者が握るオプション(興行権)を次の防衛戦でクリアすれば、ゴーサインを出す考えだ。
同じ大みそかの名古屋・愛知県体育館で、逆転KO勝ちで初防衛に成功した“中京の怪物”WBOミニマム級王者の田中恒成(畑中)も階級を上げることを明言。ライトフライ級に日本の強豪選手が集まる中、田口にとっては名前を上げ、存在感を高める1年になる。