霜田委員長「アイデンティティーを確立」 サッカー日本代表年間スケジュール発表
女子は全カテゴリーが世界大会に挑む
16年は女子の全カテゴリーが世界大会に出場する。野田委員長が意気込みを語った 【スポーツナビ】
佐々木則夫(女子日本代表監督)
高倉麻子(U−19日本女子代表監督)
楠瀬直木(U−16日本女子代表監督)
野田朱美(日本サッカー協会女子委員長)
野田 1年前に、ここで3つの15年の大きな目標を言いました。1つは、カナダW杯で連覇を狙う、もう1つはU−19、U−16がそれぞれ世界大会の切符を獲得する、この大きな3つを皆さんにお伝えしました。15年、U−19、U−16は無事、世界大会の切符を獲得することができました。そして、なでしこジャパンはカナダW杯で惜しくも連覇は逃しましたが、本当に各国の底上げがされている中、研究され尽くしている中、そして連覇という大きなプレッシャーの中、ファイナルまで行けたことは、これからの女子にとって大きな可能性と、素晴らしい課題を残してくれたと思います。15年は充実していたと言えるかと思います。目標を達成できたことは、日ごろ私たちの活動を支えてくれるすべての方々に支えられての成果だと思っています。
そして16年は、日本女子代表は新たな目標に向かって進んでいきたいと思っています。全カテゴリーが世界大会に挑むということがメインテーマになります。なでしこジャパンの目標は、リオ五輪の金メダル獲得です。昨年はチャレンジャーとして連覇をと謙虚なことを言いましたが、やはりしっかりと目標と設定して、必ず世界一を取るというのを打ち出していこうというのが、今年一番大きな強化方針となります。年明けには2つの強化キャンプを経て、2月29日からはいよいよ五輪予選、2枠という本当に厳しい予選が待っています。まずはここに集中して、その後8月に行われる本大会に進むことが、16年なでしこの大きな目標になります。
アンダーカテゴリーはU−20、U−17という年代に変わり、2つのカテゴリーが世界大会にチャレンジをします。目標は1つでも多くの試合を世界で経験し、1人でも多くの選手をなでしこジャパンへつなげるというのが、この年代に期待する一番の目的となります。アンダーカテゴリーに関しては、男子同様、女子も各国が育成年代に力を入れていますので、できるだけ活動の回数を増やし、多くの選手に経験を積んでもらう、それから監督・代表がやるサッカーを肌で感じてもらおうということを多くしようということでキャンプを組んでいます。U−17は9月30日からにヨルダンで行われるU−17W杯に出場します。そして11月からは、U−20がパプアニューギニアで世界大会に挑む予定になっています。
各国の底上げが急速に早まっています。U−19、U−16のAFC(アジアサッカー連盟)の大会を見ても、各国がかなりの勢いでアンダーカテゴリーにも力を注いできています。そういった混沌とした時代の中、私たちが主要国際大会で3大会連続ファイナリストというのは誇れると同時に、そこにとどまっていてはいけないなとひしひしと感じています。今後、特に16年、世界大会3つ、しっかりと自分たちの目標設定を高く持って、そこに向かってみんなで行くこと、それを達成することで常勝国というところをしっかりと守って、さらにFIFAランキング等でも自分たちの目指すところは、上には上がいるので、大きな目標に向かって組織一丸となって頑張っていきたいと思います。
佐々木監督「元気・希望・勇気を与えられるチームに」
佐々木監督はリオ五輪に向け、「男女そろって出場権を獲得したい」と語った 【スポーツナビ】
また、ロンドンでは男女とも出場権を獲得しました。男子の手倉森監督にも頑張っていただき、われわれも出場権を獲得したい。リオ五輪に向けて、男女合わせて皆さんにまた元気・希望・勇気を与えられるチームになっていきたいです。さまざまな競技団体がリオ五輪行きを決める中で、われわれもプレッシャーを感じていますが、みんなで最善の準備をし、頑張っていきたいと思います。
高倉 今年の9月に(U−20W杯の)アジア予選がありました。決勝では北朝鮮と対戦し、なかなか力を出し切れず、PK戦の末にギリギリ優勝することができました。最低限の目標であるU−20W杯出場権を獲得し、来年に向かってまだ課題をたくさん持ち帰ってきました。これからまた、1年間チーム作りをしていきます。
U−17世代からU−19へ移行してきた、たくさんの能力のある選手たちがいます。これまでも、若くて才能がある選手たちがいましたけれど、現状では、なかなかなでしこジャパンに手の届かないことも事実です。アンダーカテゴリでは日本のサッカーは評価されていますが、まだまだ、今後世界のトップと戦っていくには、特にフィジカル的な部分で足りない部分が多いと思います。技術的なところ、戦術的なところを含め、伸ばしていかなければいけないと思います。小手先の、足先のテクニックにとどまらず、彼女たちが真のアスリートとして成長していけるよう頑張っていきたいと思います。11月にはパプアニューギニアで世界大会が行われます。行き慣れない国だとは思いますが、W杯に来ていただいて、U−20の女子代表を応援していただけたらと思います。
澤穂希の臨時コーチ就任は「今のところない」
世界のトップを見据え、U−20W杯へ意気込みを語った高倉監督 【スポーツナビ】
(U−20W杯が行われる)パプアニューギニアも遠いですが、ヨルダンは少し手前にあると思いますので、足を運んでいただき、若い女の子たちも頑張っているんだということをぜひ見ていただければと思います。
──佐々木監督、来年1月と2月になでしこの強化合宿が沖縄で予定されているが、それぞれどんな意味合いで行われるのか。特に2月は海外組が参加できないと思われるが
佐々木 1月はインターナショナルマッチデーになっているので、欧州組を中心としたベストなエントリーにしていきたい。2月は海外組が参加しない中、日本の選手をメーンにやるわけですが、1月についても(五輪最終予選まで)少し間があるのですが、ベストなチームで強化をしていきたいし、さまざまな要因のある中で、層を厚くするということで2月の準備をしていきたいですね。
──代表メンバー発表は2月の合宿が終わった後か?
佐々木 最終的なアジア予選の発表は、2月のキャンプ終了後になると思います。
──高倉監督、今季で引退する澤穂希選手を臨時コーチに迎えたいという報道があったが、実際にそういった話はあるのか?
高倉 澤選手は引退を表明していろいろな話がありますが、私自身の考えとしては澤選手ということではなく、代表を引退した選手が身体の動くうちにアンダーカテゴリーのキャンプに参加して、テクニックや経験を伝えていくことが今後できていけばいいのではないかというアイデアはありました。特に澤選手に対して、具体的な話があるということは今のところないです。
──高倉監督、来年のラマンガの国際大会はリオ五輪予選と同じ時期になっているが、この大会の位置づけ、そしてアンダー世代の選手が呼ばれる可能性はあるのかを教えてほしい。
高倉 ラマンガの国際大会は、リオ五輪の予選と時期が重なっているので、代表に呼ばれた選手は招集できないです。女子の若手の選手がなかなかA代表に入っていけてないという現実を考えても、この選手たちの成長が急務と考えているので、U−20、23含めて底上げをしていかないと、なでしこが世界のトップに立ち続けるのは難しくなってくると思います。
ひとつ経験を積むということはありますが、勝ちにこだわって、ひとつひとつのプレー、技術的なところでもフィジカル的なところでも、日本の良さである組織的なところも含めて、身体で負けてしまうことを前提にしないで、選手が体感しながら世界と戦っていくというところを学んでほしいと考えています。