桃田賢斗と奥原希望が抱くライバル心 リオ五輪へ勢いづく日本バドミントン界
「自信が付いてきた」この1年
ケガで停滞していた時期もあったが、奥原はこの1年で自信を付け、世界のトップに並びかけている 【Getty Images】
奥原は「始めは世界のトップ選手との差が分からなくて、自分よりはるか上の存在と思っていたので、相手のショットやプレーに恐怖心を抱いてコートに入っていた。でも、徐々に差はそんなに大きくないと分かるようになって勝ち星も挙げられるようになって、自信が付いてきた」と1年を振り返った。
今大会では、世界選手権を2連覇している世界ランク1位のカロリナ・マリン(スペイン)と2度対戦。1次リーグでも決勝トーナメントでもストレートで破った。決勝戦では、世界ランク8位のワン・イーハン(中国)との接戦に22−20、21−18で競り勝った。「日本のエース、トップとして世界と戦う自覚を持って大会に入れた。5試合とも私らしいスピードのあるプレーと、ショットのコントロールができた。相手のエース球を打たせなくしたり、カウンターを取ったりすることが終始できたのが良かった。長身選手と戦うときにコートの四隅へ配球し合う展開になると、身長が低い私が不利になる。自分から(ネットのすぐ上を床と平行して飛ぶような)ドライブで低い展開に仕掛けてポイントを取る形になってきている」と結果だけでなく、内容面でも大きな収穫を得る遠征となった。
さらなる切磋琢磨が必要
しかし、五輪という大舞台で上位に入るには、さらなる切磋琢磨(せっさたくま)が必要だ。その点、今大会で優勝した同学年の2人が互いに良い刺激を受けて成長している一面は、頼もしい。桃田は、今大会で先に奥原が優勝を決めたことで、プレッシャーがあったという。桃田は「高校3年のときの世界ジュニア選手権でも、先に奥原選手が勝って、アベック優勝かと言われて、ギリギリで勝った。今回は自分が先に試合に入りたかったけど、また同じ展開になった」と笑った。
一方で、ケガをしている間、先にシニアで活躍し始めた桃田に置いていかれたくないという思いも持っていたという奥原は「桃田選手は、私から見れば順風満帆。勝負所で絶対に結果を出している、勝負強い選手。追いついたというより、まだ追いかけている状況だと思う」とライバル心を示した。来季、険しさを増す五輪レースをタフに戦い抜き、ファイナル優勝からさらに成長してこそ、リオのメダルが見えてくる。