首位陥落のインテル、その強さは本物か 試行錯誤の中で結果を出すマンチーニの手腕
首位攻防戦に敗れ、長友は前半のうちに退場
「チーム力に差があるので、監督は勝負を捨てたのだ」。プレスルームでは、ロベルト・マンチーニ監督の決断をいぶかしがる地元記者から、そんな声も聞こえてきた。しかし彼らは、ローマを抑え切って1−0で勝利を収める。相手のサッカーを読み切り、完璧な守備戦術を立てた上に、主力として出場していなかったメンバーも戦力として完璧に生かしたのだ。試合時期がハロウィーンと重なっていたこともあり、「マンチーニは魔術をかけた」(『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙)などと称賛されたものである。
以後、彼らは首位に立ち続けるが、しかし分からないものである。それから約1カ月後、11月30日のナポリ戦。「GKサミル・ハンダノビッチ以外はスタメンが分からない」と手の内を隠したマンチーニだが、今度は不発に終わった。前半2分、守備の乱れを突かれてゴンザロ・イグアインにゴールを許すと、後半にもイグアインにゴールを決められ、首位攻防戦に1−2で敗北。ローマ戦以来、スタメンをキープしていた長友はこの日、前半のうちに警告を2度食らって退場となった。
戦力がそろうのが遅れたシーズン序盤
ローマ戦の後、マンチーニ監督はそう語っていた。なるほど、ナポリに敗れて首位から滑り落ちたのは、そのあたりも影響していそうだが、本当に力がないのなら結果も出なかったはず。毎試合のように選手やシステムを入れ替えて勝ってきたインテルの勢いは、果たして本物だったのか。そして今後も、優勝を争えるだけの力を示すことはできるのだろうか。
インテルがフォーメーションを週替わりにしていたのは開幕戦からであるが、それは選手の獲得や放出を経て、戦力がそろったのが8月末になったという事情が影響していた。マンチーニ監督はウイングのできるプレーヤーを欲していたが、イバン・ペリシッチやアデム・リャイッチがそろったのは移籍市場が閉まる直前。人員余剰で何人かは放出に動いていたSBも、結局全員残った末に左利きの新戦力アレックス・テレスを獲得しさらに大所帯となった。
結局、夏の間にマンチーニが本当にやりたかった4−3−3あるいは4−2−3−1のシステムはほとんどトライできずじまい。そういう状況を考えると、夏の間に戦術を固めろというのが無理な話だっただろう。