KEI山宮、“悔しさ”で一区切り撤回 100試合達成で再燃した勝利への欲

長谷川亮

敗戦に「悔しい」を繰り返す

エンディングではこの日の大会に出場した佐藤光留、伊藤崇文はもちろん、菊田早苗、謙吾、福田力、石川英司、北岡悟といった山宮ゆかりのメンバーが集まった 【長谷川亮】

 100試合達成を記念したベルトを川村に巻かれた山宮は、続いて「自分の勝手な考えなんですけど、パンクラスは人だと思っているんです。だからハードヒットのリングですけど、自分と川村が試合をしたこれはパンクラスの試合だと僕は思っています」とメッセージ。大会のエンディングではこの日の大会に出場した佐藤光留、伊藤崇文はもちろん、菊田早苗、謙吾、福田力、石川英司、北岡悟といった山宮ゆかりのメンバーもリングに上がり、パンクラス2014年3月の横浜大会で行われた近藤有己vs.成瀬昌由戦後を思わせる光景が繰り広げられた。

 リングを降りた山宮は「2カ月ちょっと、本当に毎日が刺激的で気が張っていて、郷野選手もすごい練習してくれて、心身ともに充実していました。いい状態で試合を迎えることができたんですけど、やっぱり川村亮は強かった。簡単に勝てる相手ではなかったです」と試合を振り返る。

 100戦が現実的なものとなって以来、そこへ到達することが目標となり、たとえ負けても「あんまり悔しくなかったんですよね。“あ、試合が終わった。あと何試合で100だ”みたいな、そういう状態が続いていたんです」と山宮はいう。しかし、盟友・郷野と充実した練習を行い、納得いく準備を積んだ上での完敗。

「悔しいですね、今回は。もっとやれると思っていたので。もっとやれるつもりで試合に臨んだので、悔しいです」

「人に、人間に恵まれている」

100戦目を達成できたことに、「人間に恵まれている」と語った山宮 【長谷川亮】

 リング、そしてバックステージでも山宮からは「悔しい」という言葉が繰り返し聞かれた。その悔しさは勝利で晴らすより他にない。

「自分はいま総合格闘技をやっていますけど、決して戦績がいい訳でも、世界に通じるポテンシャルがあるかといったらそういう訳でもないので、それにも関わらずこういう場を作って頂けたということは、人に、人間に恵まれていると思っています。ほんとに100戦、約20年弱ですけど、やってきてよかったです」

 パンクラスは人――その人に恵まれたからこそ、山宮は100戦まで戦ってこられたのかもしれない。そして100試合達成で消えかけたかに思えた山宮の心は、しかしこの日の敗北で再び新たな力を得た。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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