ストレイトガール奇跡の末脚でGI二冠 有終の舞台は香港スプリントへ

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ようやく届いたスプリントGIのタイトル

「自信を持って構えていた」と戸崎、相棒の力を信頼した冷静な騎乗も光った 【中原義史】

 そんなわけだから、香港馬からの3連単1頭軸流しの馬券を握りしめていた僕としては、4コーナーから直線入り口に入っても中団やや後方の馬群の中に包まれているストレイトガールは、視界の中から消えかかっていた。

 だが、彼女の本当の見せ場はここからだったのだ。外にできたわずかな隙間を縫うように抜け出すと、インで粘りこむサクラゴスペル、ミッキーアイルらをゴール寸前で一気にパス。これが本当に今年いっぱいでの引退を見据えている6歳牝馬の脚なのかと驚くと同時に、「もう少し前でスムーズな競馬をと思っていましたが、道中はいい雰囲気でしたし、しまいは確実にいい脚で伸びてくる馬なので、自身を持って構えていました」と、戸崎の冷静な騎乗プランにもう1つ驚かされたものだ。そして、ジョッキーはこうも語っていた。

「ようやく1200メートルのGIを取れて、すごくうれしいです!」

 そう、春にマイルGIを制したストレイトガールだが、ご存じの通りデビューからずっと千二路線を主戦場にしており、これまでにもスプリントGIで2着1回、3着1回。国内ラストチャンスのここで、ついに念願のスプリントGIに手が届いたのだ。「“最後の最後”という力を見せてくれた」という藤原英調教師の言葉そのままのパフォーマンスだったわけだが、ストレイトガールにはもう1戦、本当のラストランが待っている。それは、12月13日(日)に開催される国際GI香港スプリントだ。

有終の美を香港で!

次の目標は香港スプリント、有終の美を飾ってほしい 【中原義史】

「もう一度、香港の強敵相手に挑戦したいですね。エアロヴェロシティには日本に来てまでやられているので、なんとか雪辱をと思っています。“なでしこ”という感じで挑戦して、なんとか負かしたいと思っています」と藤原英調教師。戸崎も「すごく素直な馬で根性がある。マイル、スプリントのGIを勝てるようにどんな競馬でもできるセンスの高い馬ですし、香港では昨年もいいレース(香港スプリント3着)をしてますからね。今年はGIも勝ったし、勢いをつけて、いいパフォーマンスを見せてくれると思います」と、海外GI制覇へ気合十分だ。

 日本で見せた“奇跡の勝利”を香港でも――常識を超えた強さを見せるストレイトガールならば、海を越えた地でもまっすぐに勝利の道を突き進んでくれるはずだ。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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