サモアを圧倒した日本代表の組織力
元日本代表・藤井淳が解説

 ラグビー日本代表は3日、ワールドカップイングランド大会の1次リーグB組でサモア代表と対戦し、26対5で快勝した。日本代表がW杯で初めて2勝目を挙げた試合について、元日本代表の藤井淳選手(東芝ブレイブルーパス)に話を聞いた。

1対1のコンタクト、スクラムで優位に

強烈なタックルで相手を倒すNo.8ホラニ龍コリニアシ。日本代表はコンタクトの部分でサモアを上回った
強烈なタックルで相手を倒すNo.8ホラニ龍コリニアシ。日本代表はコンタクトの部分でサモアを上回った【Photo by Yuka SHIGA】

――過去に2度、W杯で8強に入っているサモアに快勝しました。


 完勝でした。1対1のコンタクト、スクラムで優位に立てたことが勝因だったと思います。サモアは個人の強さとしては世界最高クラスで、今日出ていた多くの選手もヨーロッパやスーパーラグビー(南半球最高峰リーグ)でプロとして活躍しています。

「アイランダー(南太平洋のサモア、トンガ、フィジーなど)にはコンタクトで勝てない」というのがラグビー界の常識のようになっていましたが、今日の日本代表はそこで上回って強さを証明しました。


――体格の小さい日本がコンタクトで優位に立てた要因は?


 ひとつはトップリーグのレベルが毎年上がっていることが挙げられます。今回のW杯にもトップリーグから多くの選手が各国の代表として出場していますが、世界的なスーパースターが日本に来て、僕ら日本人選手は彼らに対応しなくてはいけないので、フィジカルの地力が上がっています。

 そして、日本代表ではJP(ジョン・プライヤーコーチ)の存在が大きいと思います。代表の厳しいスケジュールの中で、ウェイトトレーニングに多くの時間をとっているのですが、JPのおかげで故障することなく、筋肉量を上げて、フィットネスも伸ばすことができています。その結果はまさに今日、サモアに当たり勝ったことが物語っていました。

相手からボールを奪う際の正確な判断

低いタックルに入るSO小野と、上半身を抑えるLOトンプソン。徹底したダブルタックルでサモアに前進を許さなかった
低いタックルに入るSO小野と、上半身を抑えるLOトンプソン。徹底したダブルタックルでサモアに前進を許さなかった【Photo by Yuka SHIGA】

――個人の突破が強烈なサモアを1トライに抑えたディフェンスも光りました。


「個」を「組織」が上回ったと言えると思います。日本代表の組織力がサモアの個人による攻撃を抑え切ったので、サモアは我慢できずにミスや反則を連発しました。

 また、日本代表で素晴らしかったのは相手ボールを奪う際の判断です。早くラインをセットして、オフサイドをせずに規律を守ってディフェンスし、良いタックルがあった時に意思統一してラックを乗り越えてボールを奪いました。No.8ホラニやWTB松島幸太朗のタックルが素晴らしく、その状況を周囲の選手が見極めて、連動して動けたのは日本代表の練習のたまものだと思います。


 サモアのキープレイヤーであるSHフォトゥアリイ、SOトゥシ・ピシ、FBナナイ・ウィリアムズに仕事をさせなかったのも、日本が彼らを研究して、組織的なディフェンスを実行できたからだと思います。

良いテンポを生み出したSH田中

前半終了間際に連続攻撃からWTB山田がトライを奪う
前半終了間際に連続攻撃からWTB山田がトライを奪う【Photo by Yuka SHIGA】

――この試合で特に良かった選手は?


 みんな良かったんですが、SH田中史朗を挙げたいと思います。判断が素晴らしかった。日本代表の戦い方であるシェイプは、複数の選手がパスをもらえるように走り込んでくるので、SHの判断が重要になります。今日はサモアのディフェンスの弱いところを田中が見極めてパスを出し、良いテンポを生み出していました。


 ただ、ゴール前でFWが近場を攻めることにこだわって、シェイプを作れなかったのはもったいなかったですね。ゴール前だからこそ、複数の選手が走り込んでトライを狙ったり、その背中を通してBKが大きく外に展開するケースがあっても良かったと思います。

構成:スポーツナビ

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