完敗で浮き彫りになった日本代表の課題 元日本代表・藤井淳が解説
単調になってしまった連続攻撃
後半に突き放され、10対45で敗れた日本代表 【Photo by Yuka SHIGA】
日本代表のアタックは、フェイズ(攻撃回数)を重ねていくのが基本なんですが、今日はその継続性が出せませんでした。
できなかった要因としては、スコットランドのディフェンスの出足が良くてプレッシャーを受けたこと。そして、スコットランドのバックスラインは外側の選手が前に出る「アンブレラ」の形をうまく使っていたと思います。その結果、日本代表のアタックは大きく外に回せず、同じような位置ばかりを攻めてしまい、的を絞らせやすくなりました。
No.8マフィがいた時間帯は、彼が密集サイドを抜け出すなど、意外性のある動きを見せていたので、スコットランドのディフェンスに穴がありました。そういう意味でもマフィの負傷交代は痛かったです。
――南アフリカ戦と違って、攻撃方向を変えた時に、選手が良いタイミングで走り込めていないように見えました。
ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でプレッシャーを受けていたので、走り込むタイミングが難しかった部分はあると思います。SHの田中史朗にとっては厳しい状況でしたが、田中はそれでも局面を打開できる選手ですから、今後はうまくベクトルを同じ方向に持っていくことを期待します。
――45失点となりましたが、ディフェンスはいかがでしたか?
タックルスキルで言うと、南アフリカ戦と変わらず低いタックルができていました。点差は開きましたが、タックルはそんなに悪くありません。インターセプトで独走トライを許すなど、不運な部分もありました。
分岐点となった五郎丸のPG失敗
豪快な突破を見せていたNo.8マフィは後半に負傷交代した 【Photo by Yuka SHIGA】
後半13分にFB五郎丸歩がPGを外したところで、チームのメンタルが一段階下がったように感じました。五郎丸のキックはゴールポストに当たったんですが、スコットランドのSHレイドローがそれをフェアキャッチ(自陣22m以内でノーバウンドで「マーク」と叫んでキャッチするとFKを得る)して、素早く再開して一気にエリアを戻されました。
五郎丸が日本で最高のキッカーなので、結果でどうこう言うのは心苦しいんですが、スコットランドのようなチームに勝つには得点の機会を逃すと苦しくなります。あそこで13対17になっていれば、その後の展開も変わったと思います。