ヤクルトを変えた“ROB”の誕生 救援陣の再建に腐心しつかんだV

菊田康彦

コーチ陣が腐心した負担軽減策も奏功

春季キャンプから意気込みを見せていた守護神バーネット。ロマン、オンドルセクとともに、優勝に大きく貢献した 【写真は共同】

 ローテーションの谷間では先発もするなど、シーズンを通して奮闘してきたロマンが終盤にやや調子を落とすと、逆に調子を上げてきた秋吉、あるいは状況によっては左の久古がしっかりとカバーした。外国人トリオも含め、1年を通じてリリーフ陣に故障者はほとんど出ず、主要なメンバーを固定できたのも大きかった。

 高津コーチは「固定したメンバーでしっかり1年間戦えたっていうのは、トレーナーとかコンディショニングも含めて成功したかなと思います」と言うが、昨年までは試合中に2回させていたウオーミングアップを1回に減らし、シーズン終盤になるまでは連投も基本的に2日までとするなど、中継ぎの負担を減らすように腐心したのもモノを言った。さらに──。

「先発があまりそろわない中で、リリーフにかかる負担が大きいということで、真中監督が(リリーフ)8人体制で行ってかまわないと言ってくれたんです。勝つためには、たとえ敗戦処理でもいいからピッチャーが多くいた方がチームのためになるって言ってくれたんですよ。そんな監督は初めてですね」

 ブルペン担当の伊藤智仁投手コーチはそう証言する。真中監督は「勝っていても終盤でひっくり返されるとか、そういう試合がなくなった。同点で競っていても、こっちが点を取るまで(投手が)粘ってくれるとか、そういう試合が増えてきた。そういう意味では、リリーフ陣がそれぞれの役割をしっかりやってくれた」と救援陣の働きを称えるが、その裏には指揮官自身のリリーフ投手に対する理解があった。

 昨年はリーグ最下位の4.58だったチーム救援防御率は、今年はリーグ1位の2.61。103ホールドもリーグ最多である。川端、山田哲人、畠山和洋に代表される強力打線が脚光を浴びることの多いヤクルトだが、2年連続最下位からの巻き返しは、この救援陣なくしては成しえなかった。

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著者プロフィール

静岡県出身。地方公務員、英会話講師などを経てライターに。メジャーリーグに精通し、2004〜08年はスカパー!MLB中継、16〜17年はスポナビライブMLBに出演。30年を超えるスワローズ・ウォッチャーでもある。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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