ホルツケンがTKOでウェルター級王座戴冠 「グローリー23」ラスベガス大会結果
紆余曲折を経てきたウェルター級タイトル認定戦
紆余曲折を経てグローリーウェルター級王座を戴冠したニキー・ホルツケン 【(c)GLORY】
紆余曲折を経てきた今回のウェルター級タイトル認定戦。2013年12月のウェルター級トーナメント覇者となったニキー・ホルツケンは年明けに肩を負傷しタイトルマッチから痛恨の戦線離脱。そしてタイトルホルダーとなったのはトーナメントでホルツケンが破ったジョー・バルテリーニだった。
1年におよぶリハビリから戦線復帰したホルツケンは今年2月にコンテンダートーナメントで優勝。バルテリーニとのタイトル戦を射程に入れるも何と今度はバルテリーニが病気によりタイトル返上。王座は空位となりタイトルは認定戦に変更されホルツケンの相手は2月のコンテンダー戦で決勝を争ったレイモンド・ダニエルに決定し今日を迎えた。
フライングニーで逆転TKO勝利
序盤はダニエルが手数でリードしポイントを稼ぐ。スローペースのホルツケンはダニエルにやられっぱなしのように見えたが、実はダニエルの動きをしっかりと把握していた。中盤3Rに入っても動きを止めないダニエルだったが微妙に攻め疲れ。その一瞬を見逃さずホルツケンが反撃を開始。コンビネーションで攻め上げフライングニーを決めるとダニエルは左瞼を大きくカットし流血。レフェリーのジョン・マッカーシーが試合を止めホルツケンが新たなウェルター級王者に就任した。
「僕が王者となった。防衛戦はバルテリーニとやりたい。早く復帰してもらいたい。もし病状回復が思わしくないのなら、コンテンダートーナメントで勝ちあがった選手と防衛戦をやることになるだろう。僕自身もコンテンダー戦で挑戦権を得たわけだから」
ベルトを巻いたホルツケンは語った。
一方のダニエルは落胆の面持ちで、「僕が流れを作り主導権も握っていたと思う。ニキーの反撃は分かっていた。コーナーでつかまり予期せぬヒザが来てカットされた。目に血が入り見えなくなった。レフェリーの判断も試合も全てに敬意を表し納得しています」
落胆したダニエルは病院へ直行した。
グーカン・サキが王座返上グローリー離脱
ムエタイスタイルのカリフォルニア在住ウズベキスタン人ボイナザロフがデビュー戦勝利 【(c)GLORY】
別件で気がかりなことが発生した。ライトヘビー級王者のグーカン・サキがグローリーと揉めていることが明るみとなった。契約更新で意見が合わず決裂しグローリーがサキに王座返上を強制。サキはタイトルを返上しネット上にグローリー批判を展開し離脱した。実際グローリーのやり方だと年に一回ほどの試合しか組まれないので王者としては拘束条件もあるため決して条件的に満足できない状況であることが垣間見えた瞬間だった。契約選手の離脱は今後も発生するかもしれない。
グローリー23
一瞬の油断で勝利を逃したアンダーソン・シウバ 【(c)GLORY】
<ウェルター級タイトル認定戦>
○ニキー・ホルツケン(オランダ)
(3R 1分36秒 TKO※カットによりドクターストップ)
●レイモンド・ダニエル(米国)
※ホルツケンが王者就任
<ヘビー級スーパーマッチ>
○ハヴィエル・ヴィグニー(米国)
(3R判定2−1※29−28、28−29、30−27)
●ダニエル・サム(イギリス)
リーチ差を利用しヴィグニーが試合を有利に進めた。サムはヴィグニーの距離から中に入れず流れを変えることができない。3Rにやっとロー攻撃に活路を見出したサムだったが時既に遅し。セオリー通りに最初からロー攻めをしていれば結果は違ったかもしれない。判定は分かれたが審判の質に問題があったようで内容的にはヴィグニーの3−0だった。
<ミドル級コンテンダートーナメント 準決勝第1試合>
○ダスティン・ジャコビー(米国)
(1R2分59秒 KO※パンチ)
●アリエル・セルヴェダ(米国)
アメリカ人選手4名によるミドル級コンテンダートーナメント。ジャブとローで攻めるジャコビー。アリエルもジャブを返すがジャコビーの攻めに対応できずとまどう。右左右で打ち抜いたジャコビーがKO勝利でファイナルへ。
<ミドル級コンテンダートーナメント 準決勝第2試合>
○カセイ・グリーン(米国)
3R判定3−0※30−27、30−27、29−28)
●クイントン・オブライエン(米国)
出だしはローのオブライエンとパンチのグリーン。最後まで攻防を繰り広げた両者。決勝へ進んだのはグリーン。
<ミドル級コンテンダートーナメント決勝戦>
○ダスティン・ジャコビー(米国)
(2R1分19秒 TKO※レフェリーストップ)
●カセイ・グリーン(米国)
1RKOで勝ち上がったジャコビー。グリーンは3R判定による決勝進出。スタミナ面でのアドバンテージがジャコビーにある。そのジャコビーがジャブとローで試合を組みたてる。グリーンが時折フックを返すも1R終盤には捕まってしまいダウン奪われる。続くラウンドもジャコビーが圧力をかけグリーンをコーナーに詰め一方的な攻撃。まるで為すすべのないグリーンを見たレフェリーが試合を止めジャコビーの挑戦権獲得が決まった。
<スーパーファイト ヘビー級>
○ジャマル・ベン・サディック(ベルギー)
(3R2分55秒 TKO)
●アンダーソン・シウバ(ブラジル)
大きいシウバもサディックと並ぶと小柄に見える。シウバはオランダ滞在を含め10年でかなりの経験を積んだ。キャリア差で体格差を補い序盤中盤とシウバが流れを作り巨漢サディックを翻ろうしポイントを稼いだ。誰の目にもシウバの試合だった。最終ラウンドにバックステップしたサディックにシウバが右パンチを決める。華麗な自分のパンチに気を良くしたシウバが一瞬のノーガード。このワンチャンスにサディックが渾身のストレートを顔面に叩き込んだ。シウバダウン。間違いなかった勝利が一瞬にして消滅。まさに油断としか言いようがなく、攻守逆転となりシウバはダメージで建て直しが効かずコーナーで攻め込まれ危険を察知したレフェリーが試合を止めた。シウバ痛恨の敗北。勝ったサディックも反省点多々の一戦だった。「油断するな」を英語ではキープ・ガードとかステイ・ガードとか言うが、まさにガードミスという油断でシウバは勝利を逃した。
<スーパーファイト ミドル級>
○マット・ベイカー(米国)
(3R判定3−0※三者30−27)
●エドワード・ハイマン(米国)
両者ともにグローリーデビュー戦。序盤はスピーディな展開で五分だったが中盤以後はベイカーが主導権を握った。嬉しい判定でベイカーが初勝利。
<スーパーファイト ウェルター級>
○チャド・スグデン(イギリス)
(3R判定2−1※29−28、28−29、29−28)
●マーテル・フルンハルト(オランダ)
「グローリー5」ロンドン大会のアンダーカードに出場したチャド・スグデン21歳。アンダーカードのTV放映はされなかったのでほぼ無名選手である。そのチャドがK−1グローバルマックス優勝のマーテルを破った。判定が割れたとはいえ勝利は勝利である。二人とも70kg選手だったがウエートが自然増したため両者ともに77kgに階級を変更しての参戦。試合後にチャドは「ドローだったと思う」呟き、負けたマーテルは「チャドより動いていたと思う」と述べた。ともあれこの両者はホルツケンのタイトルに挑戦する有望株である。
<スーパーファイト フェザー級>
○アンファル・ボイナザロフ(ウズベキスタン)
(3R判定2−1※29−28、28−29、29−28)
●ギガ・チカゼ(ジョージア)
「グローリー21」で鮮烈のKOデビューを果たしたチカゼが再び起用された。今回はチカゼのウエートである65kg戦。対戦相手はカリフォルニア在住ウズベキスタン人ボイナザロフ。知る人の少ない選手だろうがタイのルンピニーで7勝1敗のレコードを持つ実力者である。
序盤はしばらく相手の動きを見ていたチカゼがパンチ、バックスピン、バックブロー、カカト落とし、ローリングサンダーサマーソルトキックと、見栄えのする技を次々と繰り出し場内を湧かせた。一方のボイナザロフは正当ムエタイのオーソドックスなスタイルで迎撃するも右目をカット。足技対パンチの対戦は観客には分かり易い。中盤からボイナザロフが正確なパンチで顔面とボディーを打ち分けチカゼからスタミナを削る。ポイントは序盤がチカゼで中盤がボイナザロフ。最終ラウンドで決まる。両者ともに力を尽くし判定はかなり微妙に割れた。ボイナザロフが嬉しいグローリーデビューを飾った。
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