新リーグの階層分けをJPBLが発表 1部にトヨタ、秋田ら12クラブが決定

スポーツナビ

1部参入の最大の鍵は財務面

川淵理事長(左から2人目)が1部参入決定クラブを読み上げると、ボードに記されたクラブ名に『1部』のマークが付けられた 【スポーツナビ】

――1部の要件を満たしていないチームが15クラブだが、それぞれの条件で何チームが引っかかっているのか?

大河 アリーナの判定ですと、まだ5000人以上のアリーナが確定していないクラブが6つほどあります。また、2億5000万円の売り上げがないクラブが13。ただ、これは新リーグになりますからスポンサー等々が増える見込みはありますが。逆に言うと現時点で2億5000万円の売り上げをクリアできているのは2クラブしかありません。債務超過の判定に関しては、まだ少し詰める必要があると考えているクラブが15クラブ中7クラブあります。80%(ホームアリーナで試合を開催するにあたって)の(行政からの)支援文書はほとんどのクラブがもらえているのですが、一部まだ残っているとご認識いただければと思います。

――自治体からのアリーナを8割使用する支援文書についてだが、今回1部に決まったチームはすでに全チーム提出済みなのか? また、この文書は今後も絶対に求められるのか?

川淵 2部で抜群の戦力があって、1部で優勝する実力があると認められても、アリーナの条件を整えることができなければ1部に上がることは絶対にない。絶対にないです。

――来年秋の開幕までまだ時間あるが、リーグが盛り上がるために、この一年間で各クラブに期待することは何か?

川淵 企業チームが地域に根差して多くの市民の賛同を得るための努力は、今までのbjリーグの数倍の努力が必要です。今までそういうことをしていないとは言いませんが、そういった面ではbjリーグの方がはるかに進んでいた。エンターテインメント性も僕は少しランクが低いと思っている。そういう意味でも、企業チームには生まれ変わった形で、プロのリーグとして地域の住民にサポートしてもらえるような努力をしてほしい。

 また、一番の問題は何かと言うと、バスケットボール選手の顔と名前を全国の人があまり知らないこと。僕も関わるようになって、うまい選手や格好良い選手だとか、特徴のある技術を持った選手だとかいろいろといる(ことが分かった)。そういったことを多くの人に知ってもらえるような報道を多くしてもらえればありがたいなと思っていますし、そのための努力はやっぱりしていかなければいけない。今まではマスメディアにそういうことを求めても、リーグが2つあってどっちを紹介したらいいのか分からないということがあった。今回の(新リーグができる)意味というのは、日本を代表する一つのプロリーグができて、世界に打って出るんだというスタートなのですから、魅力ある選手がいるということをわれわれがメディアに訴えて、選手を多くのファンに知ってもらうことから始めないといけない。一般的にチームを見に来るわけではない。選手を見に来るんです。そこをどう打ち出していくのか、という努力をしていかなければいけないと思っています。

 それから盛り上げの方法はすごく大切です。1部に参加が決定したクラブに対しては、活性化、認知度アップに関してはわれわれとしても十分に話し合いをしながら行動を取っていかなければいけないと思っています。盛り上げていくのがこれからの最大の課題だと言えると思います。

――所属リーグが確定したクラブのホームアリーナを教えてほしい。

大河 基本的には確定しているが、これから新しくアリーナを作る際に、行政などは議会で話し合いをしていく過程がありますし、例えば用地をどうするのかなどいろいろな選定作業があります。今ここで発表することによって、そのような作業に支障をきたすこともあり、それはバスケットボール界全体にとってプラスではありませんので、今日は差し控えさせていただきたいと思います。

――1部になる可能性がある15チームの中で、財務の面で課題があるチームが13チームあるとのことだが、2億5000万円の売り上げを達成するにはスポンサーやチケットセールスなど、どういった部分が鍵となると考えているのか?

大河 一番大きな鍵はスポンサーの獲得ということが言えると思います。ただ一方で、ファンクラブや後援会の数を今回たくさん集めると、それが将来的に入場者として跳ね返ってくる可能性があると思います。そういったことなども含めて、トータルに判断していきたいです。ただ、各クラブによって難易度に差はあるとは思っています。

最後の審判は8月29日

――川淵チェアマンに前園真聖から伝言がある。

「川淵チェアマン、先日は『ワイドなショー』にご出演いただきありがとうございました。本日は別の仕事が入ってしまい、そちらにおうかがいすることができず本当にすみません。新リーグへの大きな一歩でもあった階層分けの発表を、出先よりドキドキ、ワクワクしながらインターネット生中継で拝見します。そして、川淵チェアマンがクラブ名を噛まずに発表できることを、祈っています」(前園)

川淵 いらんことを心配するな(笑)。

――前園から質問もある。8月13日から日本代表の強化試合が行われるが、川淵チェアマンの意気込みを聞かせてほしい。

川淵 僕が意気込んだってしょうがないじゃないか。選手に意気込んでもらわないと。つまらん質問はするな(笑)。

――残りのチームは8月29日に階層を発表することになると思うが、これ以上、先延ばしにはしないのか? また、45チームの数は変えないのか? 検討した結果、リーグに参加できないクラブが出てくる可能性はあるのか?

川淵 今、宙に浮いているというか確定していないクラブで、辞退するクラブが出てくる可能性もゼロとは言えませんね。それは、その時に検討すればいいことだと思います。8月29日は変えません。

――残りの1カ月でスポンサーを集めるのは厳しいと思うが、それでも変えないでやってもらうのか?

川淵 それは1年あったらできるのかというとできないと思います。今回も6カ月でできるのかと、最初に言ったときはほとんど不可能だろうと皆さんも思ったわけです。それは短期間だからできたわけです。それが長期間かけたらより良くなるということはないです。6カ月かけてここまで来たのだから、あと1カ月でさらにクラブが努力することで状況を変え得ると、こちらは思っているからブリッジの時期を設けました。そこでまた、各クラブで競争してより良い方向に行けばいいし、「こういう状況だからお願いします」という言いやすさも出てくる。そういったことを可能性としてクラブに望んでいる。それをクラブがうまく利用してもらえばいい。

――期限を切らないと必死にならないという考えなのか?

川淵 世の中そうですよね。受験勉強だって期末試験だって全部そうじゃないですか。のべつ幕なしに、目標はあるけれど期限設定がないなんて目標のうちに入らないですよ。

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