充実したプレシーズンを過ごす吉田麻也 課題の集中力を保ち、定位置確保なるか?
吉田が感じたイングランドとオランダの違い
イングランドとオランダの違いとして、吉田は競り合いの強さを挙げた 【Getty Images】
「そこら辺はイングランドとオランダの違いだと思います。(イングランドではゴール前で)フリーになることがないので」
セットプレーで吉田を見張り続けていたカイトが、この時は吉田を見ていなかった。
「(守備が)ゾーンだったので、僕のところがフリーだった。だいたい、(フェイエノールトは)ペッレとジョゼ(フォンテ)を見ていて、いつも僕はその間を狙っている。ラッキーでした(笑)」
フローニンゲン戦でも、セットプレーから吉田はフォンテのヘッドの折り返しに反応して惜しいボレーシュートを放っていた。
「セットプレーは結構練習しています。そこの差がイングランドとオランダで顕著に出ると思います。競り合いの強さはオランダとだいぶ違うと感じますね」(フローニンゲン戦後の吉田)
クラブがCBを補強してからが勝負
CBの補強を求めるクーマン監督は吉田をどう評価しているのだろうか 【写真:Action Images/アフロ】
「いや。常にそこ(集中力)との戦いだなと思っているので。そこでのミスを減らせれば、よりコンスタントにパフォーマンスを出せると思う。自分の課題はそこ。極論言ってしまうと、かなりそこに重点を置いている。それ以外のところは、こなせるというか、勝手についてくると思っている。そこさえこなせれば」
吉田の課題は「90分間の集中力」というより、「シーズンを通じた集中力」へと変わったような気がする。
「やっぱりオランダの時と違って、イングランドでは一個のミスでポジションを失う。そのミスで3カ月出られなくなるので、そこは一昨年、マウリシオ・ポチェティーノ(前監督)のときにひしひしと感じた。今までも取り組んでいたんですけれど、試合に出られないという現実的な危機にさらされて、よりそこを強く感じて去年取り組んだ」
昨シーズンは昨シーズンで、開幕当初はレギュラーとしてスタートしたものの、夏の移籍市場でライバルが増えていき、吉田は「4番目のセンターバック(CB)」の序列に甘んじる時期もあった。フローニンゲン戦後の吉田の言葉。
「去年は本当に与えられたポジションを全力でこなすということだけを考えてやっていた。一昨年は全然試合に出られなかったので、状況的にもかなり追い込まれていた。結果的に契約更新できたけれど、あと半年の状況だったので、まあ大変でした(ため息)」
(フローリン・)ガルドシュのけがもあり、今の吉田はレギュラーだが、「トビー(アルデルワイレルト/トッテナム)が抜けたんで、とりあえず今はスタメンですけれど、間違いなくあと一人(CBを)獲ると思うので、そこからが勝負になると思います。それまでに安定したパフォーマンスを出さなきゃいけない」と気を引き締める。クーマン監督も「あと2人CBがほしい」とクラブにリクエストしている。
吉田「チームの進化に個人の進化が伴わないと」
「もちろんクラブとしてもヨーロッパリーグはチャレンジ。僕も初めてですし、ほとんどの選手が初めてだと思います。僕がサウサンプトンに入ってから3年になりますけれど、かなり進化して、いつの間にか強豪クラブになったので、チームの進化に個人の進化が伴わないとはじかれていく世界だと思う。もちろん、それを求めてイングランドに来たというのもある。去年はその中で成長できたと思うし。だからと言って、今年も出場機会に恵まれる保証もない。1試合1試合、1日1日、勝負していかないといけないと思います」
EL3回戦のフィテッセ戦を戦うため、吉田はまたオランダへ戻ってくる。