「掘り出し物」の青木に痛い負傷離脱 復帰後は再びレギュラー争いから
青木の活躍でうれしい悩み
5月に入り、チームの上昇とともに青木も勝利につながる活躍が増え、取り上げる記事も増えた。2番のパニックとともに好調を維持していたことから、ニューヨークでは対戦相手の記者には「驚異の1、2番」と紹介された。
5月半ばにハンター・ペンスが復帰したときには、青木も先発を外れることもあったが、キャンプから外野のポジション争いをしてきた、グレゴー・ブランコやジャスティン・マクスウェルとともに切磋琢磨(せっさたくま)しながら好調をキープしていた。そのころは、外野手が5人となりボウチー監督も「(誰を起用するか)これはうれしい悩みだ」と語っていたほどだったが、1カ月後にはまさか外野手不足で悩むことになるとは思っていなかっただろう。
新たな外野手補強の可能性も……
しかしながら、これはア・リーグのファン投票で話題のロイヤルズファンによる組織票の影響と思われる。これに関しては、米Yahoo!スポーツの記者などは「見過ごせない問題」と伝えている。
実際に私たちがサンフランシスコのファンに行ったアンケートでは、青木に投票したというファンは2割もいなかった。スター選手が多いジャイアンツで、ペンスやパガンを差し置いて、青木をいの一番に投票することは考えにくい。青木がカンザスシティのファンに愛されていたことは事実だ。そしてサンフランシスコのファンにも認められてきた……そんな矢先だった。
チームは地区首位のドジャースを僅差で追随している真っ最中。12日に左手首の腱鞘炎でDLしたペンスに続く青木の離脱をボウチー監督は「非常に耐え難いタフな状況」と語った。私の友人である『サンフランシスコ・クロニクル』紙のヘンリー・シェルマン記者は「これ(青木のDL入り)は、ペンスを欠き、得点力不足に悩むチームにとってひどいニュースだ」と伝え、ジャイアンツはまたもチームプランの変更を余儀なくされている。新たな外野手も補強を伝えた地元メディアもある。
青木の復帰は早くとも後半戦になる見通しだが、そのときはまたレギュラー争いから始めなくてはならないかもしれない。せっかく地元メディアからも、ファンからも存在が認められつつあっただけに、骨折の痛み以上に青木にとっては痛い戦線離脱となったことは間違いない。信頼を取り戻し、前半と同じ活躍ができるかが、復帰後のカギになるだろう。